黄金羊の観劇記

観劇・映画・読書の感想を好き勝手に書いてます。東宝・宝塚・劇団四季中心、海外ミュージカル(墺英米)贔屓、歴史好き。

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」感想

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<3月24日 10:30  於シネマ・イクスピアリ

 

3月8日の公開から遅れること約2週間、Twitterでのネタバレをなんとか回避して(それでも一部は被弾してしまった)、ようやく見てきました。

感想をどうまとめたらいいのか分からないので、映画を見ているあいだ胸の内に浮かんだ言葉を出来るだけ順番に書いて行こうと思います。鑑賞中の「?」や「!!」を皆様と共有できれば嬉しい。

 

私は観賞後しばらく他人の考察や感想を読み漁るのをやめられず、そのせいで余計にエヴァのことしか考えれなくなり、休前日に見なかったことを後悔しました。

長年のファンの方は金曜夜や土曜に見るのがオススメです。

 

 <プロローグ>(YouTubeで先行配信していた部分。ここだけ先に視聴しました)

・パリ上空でのアクション、超カッコいい!!マリカッコいい!!

・マヤの「これだから若い男は」、ウケる(旧劇では先輩好きだけど男嫌いの描写はなくなかった?14年の間にだんだん過激派になって行ったの?)

・パリの大地が青く戻った!!すごい!!!

・赤色の大地は死んだ土地ってことなんですね

・よくわからないけど神様の置き土産なら土地を浄化出来るんですね?それを解析して使えるようにしてるんですね?

・青色になる大地に、エヴァの物語が初めて『世界が救われるハッピーエンド』を迎えるかもしれない可能性を見て大泣きした。最後に放り出されて物語の結末を見られなかったTVシリーズ、胸躍らせて見に行ったら地獄に叩き落とされ呆然とした旧劇場版の記憶が蘇る。

そして一刻も早く続きを見たくてたまらなくなったので、先行配信プロモーションにまんまとやられました。

 

以下、ネタバレしかないので視聴後にお読みください。よろしくお願いします!!

アスカ(というか、シンジとアスカというカップル)に関する思い入れが思った以上に強かったことに書いてて気づいた。

 

 

<序盤>

・トウジが出てきたーーーーーーー!!!!お医者さんになってる!!!!

・なんか太平洋戦争中か戦後すぐみたいな世界になってる

・委員長も出てきたーーーーーー!!!!!!!トウジが出てきた時点で察していたけど嬉しい!待ってた!!

TVシリーズ版でトウジの最後の姿とそのまま最終回まで出番がなかったことに呆然とし、トウジと委員長幸せになってくれ、無事にくっついてくれと願い続けたファンの思いは成仏した

・…成仏、したか?いや、願ったのは、見たいと思ったのは平和を取り戻した豊かな世界で笑いながら幸せに生きている彼らで、こんな過酷of過酷な状況で苦労しまくりながら必死に細々と生きている彼らでは…ないのだが…二人ともめっちゃ痩せてるやん体型…ロクに食べてもいないんやん…うう…(涙)

・ケンスケーーーー!!!落ち着いて頼れる大人になって…

・第三村、特にレイの描写は楽しいけど長くない?(正直途中で退屈になってきた)

・映像はとても綺麗

・田植えしてコケたり、挨拶を覚えたり、ひたすらレイが可愛い

・電車図書館に安野モヨコ先生の「シュガシュガルーン」のポスターがある

・レイが選んだ絵本も安野モヨコ先生作だ…モヨコ先生、お疲れ様です

・ヴィレやネルフ周辺と、生き残った人類のテクノロジーの差がいくらなんでも酷くない?なんで人類の生活レベルが戦時中まで後退してるん

・レギュラーキャラは加持さん以外大体生きてたのは嬉しいけど、人類の減り方がすごい

・見ていられない残酷血みどろ描写はないけど、ものすごい数の人間が裏で死んでいる話…シン・ゴジラみたい…

・ペンペン生きてたーーーーーーーーーー!!!!!!!良かったーーーーーー!!!!!

ミサトさん!!!!!!!!!!!!妊娠出産してたの!!!!!!??????43歳で独り身のまま頑張ってるんだと思ってめちゃくちゃ応援してたのに!!!!!裏切られた!!!!!!酷い!!!!!!!!!!!!(高度不妊治療と流産の癒えない傷をいまだ抱える女の号泣)

・もう私に応援できるのはリツコさんだけだ……リツコさん……がんばれ………

 

・レイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(言葉にならない)

・まただ!!!「破」の最後でレイ(2人目)が救出されて、これからハッピーパラレル時空が始まるのか、TVシリーズで負った心の傷を全て癒していってくれるのか、庵野!!!と嬉し泣きに泣いたのに「Q」でそれを全否定されてどん底に落とされた!!!!そして今度のレイ(3人目)こそ世界に触れて学んで成長して幸せになってくれるのかと思ったらやっぱりTVシリーズと同じような悲惨な結末!!!!救われるのかと一瞬信じさせられては手酷く裏切られる!!!!!!いったいなんなんだ庵野!!!!!!!!

 

・シンジがこれまでの人生で得た一番の宝はトウジとケンスケ(&委員長)という友人だった。間違いない。

・シンジがまともに立ち直った…

 

<中盤>

・「あの時はシンジのこと好きだったんだと思う」言っちゃったーーーー過去形で言っちゃったーーーーアスカルート消失確定ーーーー!!!!!!!!!(深い悲しみ)(旧劇の最後の場面で、訳は分からなかったものの「エヴァの正ヒロインはアスカだったんだな!!」と認識し、シンジとアスカが幸せカップルになる世界を夢見ていた)(TVシリーズ視聴時はレイ派で、レイとくっつくのかなあくっつかないなあ、と思いながら見守っていたので旧劇の最後は多少ショックで、それを翻して「アスカが生ヒロイン!」と自分の中の認識を改めたにも関わらずこの仕打ち!?公式!!)

・アスカが「式波シリーズ」という、レイと同じく作られた人間だったこと、地味にだいぶショックでした…TVシリーズでは普通の人間だったよね!!?母親いたし!!!アスカの名字が変わったのはそういうこと!!?TVシリーズと旧劇の「蒼流・アスカ・ラングレー」は天然の人間、新劇版の「式波・アスカ・ラングレー」はレイと同じ量産型人造人間の1個体ということ!!?

・戦闘シーンはカッコいいけど何が起きているのかよくわからない

・13号機が起動するといけないんですね?

・アスカが眼帯外した!!!Qの事故で片目を失くしたのかと思ったら使徒を身体に宿してた方だったかーーー!!!

・アスカ頑張れー!!と手に汗握って応援していたら、イヤアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!

・アスカのオリジナル??そういえばレイにはユイさんというモデルがいるから、アスカにもモデルがいるの???

ネルフはなんでゲンドウと冬月先生の2人だけで何の問題もなくやっていけるんだろう。機械類の整備とかどうやってんの?

・序盤の機械の大群もだけど、冬月先生1人で戦艦3つもどうやって動かしてるの?念?

・ゲンドウとミサトさんの会話によってやっと事情が説明され始めた(Qの序盤くらいで欲しかった説明)

・シンジに対して言って欲しいと思ってたことをミサトさんがちゃんと言葉にして全部言ってくれた。ありがとう(貴方が初号機に乗らなかったらその時点で人類は滅んでいた、感謝しているわとか、彼の行動の全責任は上司である私が負います、とか)

・初号機どこにあったの?いつの間に出てきたの?

・ゲンドウは14歳じゃないのになんでエヴァに乗れるの?人間捨てたから??

・マイナス宇宙って何?

ゴルゴタの丘という名の何か…(私の知っているゴルゴタの丘ではないということしかわからない)

・マヤが若い男を見直した!!そこは覆されるんだ!!

・一人だけ艦に残って色々背負って死んでいくミサト艦長。三石琴乃ヴォイスの呪縛か(例:ガンダムSEED

・最後に一人だけ艦に残る選択をしたミサトさんにはやっぱり泣けました。実の息子と、かつて一緒に暮らした息子のような少年の写真飾って。二人とも14歳……。

 ・ミサトさんが死ぬ前に14年前の髪型に戻るのは胸熱だったけど、あの前髪がどうしてああなるんだ。短い前髪はどこに収納されていたんだ。わからない…

イスカリオテのマリアって何!!!!??

・冬月先生なんで爆死したん????

 

<終盤>

・旧劇みたいな展開と絵面になってきた。結局最後はこうなるのか……

・壮大なスケールだし表現には唸るけど、これ旧劇で見た感はある

・ゲンドウの自分語り始まった!!これは見たことないやつな気がする!!かつてなく良く喋るな父!!!

・ゲンドウの(たぶん)大学時代にマリがいた。マリって何歳?14歳じゃないの??じゃあなんでエヴァに乗れるの??

・シンジよりゲンドウの方が更に強い自閉症だったんだな…これ庵野監督の自伝?庵野監督、自分のこと語ってるよねこれ?

自閉症の人にとっては世界や他人ってこういう感覚なんだろうか…コミュ強のリア充とは生きてる・感知する世界がまっっったく違う…というかゲンドウがコミュ強リア充だったらエヴァンゲリオン世界は何も起こらず平和だった…?ゲンドウのユイに対する愛と依存が強くなりすぎた結果の人類補完計画でこの有様…大変だなエヴァの世界…

・というかゲンドウはネルフ時代からどうやってそんなに権力を得られたの?結局ゼーレって何?世界がほぼ滅んだのはわかるけど各国政府どうなって何してたの?ヴィレってどうして生まれたの?何故誰もゲンドウ(と冬月)の暴走に反対したり止めたり出来なかったんだ?何もわからん

・アスカと旧劇の最後のシーンをやり直したと思ったらシンジからの「ありがとう、僕のことを好きって言ってくれて。僕も昔は好きだった」とアスカの「あたしが大人になっちゃった」で大泣きせざるを得なかった(アスカルート消失は確定してたけど、実らなかった恋にここまで念を押さなくてもさあ!!!)

・アスカがケンスケとくっつくのは冷静に考えると良いと思う。TVシリーズの頃から目を輝かせて「エヴァパイロットになりたい!!」と言っていたケンスケ、「僕達と同じ年で大尉!!」「飛び級で大卒ってことだろ!?スゲー!!」とちゃんとアスカの凄さをきっちり理解していたケンスケ、そして新劇で落ち着いた大人になっていたケンスケなら、アスカの不安定な精神や難しさも全部丸ごと受け止めてアスカと相対していってくれるだろうなと思うから。私がアスカの立場だったら、そりゃシンジよりケンスケを人生の伴侶に選んだ方がずっと楽だし幸せにもなれると思う。お互い子供で不安定なシンジとじゃ喧嘩や言い争いが絶えない家庭になりそう。だからケンスケと生きていくとうアスカの選択は現実的だし、賢いし、良いものだと思うよ。ただ「公式ではエヴァの生ヒロインで、最終的にシンジとくっつくのはアスカ」という気持ちで20年以上いたので、それを公式から真っ向否定されると、すぐには受け入れられないし整理出来ない。

・渚…司令?司令って何????冬月とどういう知り合い??また唐突な新情報。何も分からない

・2人目のレイ、生きてたというか、存在してた!!えらい髪が長くなってるけどかわいいね

・コンテ画の演出。こういう実験的・挑戦的な画面作りは嫌いじゃない。

・ゲンドウ、ユイさんとまた会えて、一緒に死ねて良かったね……

・というかゲンドウの動機も結末も結局TVシリーズ&旧劇と一緒なんかい!!!!!!!!

 

<エピローグ>

・カオル君とレイ、くっついてるの???????え???????なんで?????

・冒頭の「迎えに行くよ、ワンコ君」が本編中ずっと生きていたなあ

・最終的にマリとくっついた…そうか…うーんそうだね、マリは精神的に安定してていつも上機嫌だし、メンタル不安定なシンジが伴侶にするにはそりゃアスカより良い相手だよね…わかる…君たちはお互い良い相手を選び直したのだ…わかる、わかるぞ…………理解はできるが受け止めることはまだしばらく出来ない!!!!!公式ーーーーーーーーーーー!!!!!!

・声変わりしてよかったね、シンジ君(こんな重要な声を最後に任されたのは誰なんだと思ってスタッフロール確認したら神木隆之介君で全私が納得した)

 

<全体の感想>

・映画館から出た第一声「こんな時どんな顔をすればいいのかわからないの…」

・第二声「何も分からない」

・同行の夫の第一声「TVシリーズだけで良かった」に同意

結局新劇は物語的にはTVシリーズ&旧劇の焼き直しでしかなく、細部や結末に微細な変更はあっても、大きくは変わったことは何もないという印象。

・絵はTV版より格段に綺麗になったので、新劇版を見る価値はあった

「Q」は何も分からなかったけど面白かった。一瞬も飽きることなく、見ていて楽しかった。アクションの絵、音楽の使い方、場面の繋ぎ方や間の取り方など、「映画」「映像」として素晴らしかったからだと思う。日本のアニメーションはこんなにも凄いのかと鳥肌がたったし感動した。

・今回の「シン」は途中退屈さや中弛みを感じた。2時間35分は私には長かった。「Q」の時にあった上記の興奮はなかった

TVシリーズの最後の2話を見返したくなった

・情報量が多いのはもちろん、視聴者側に解釈・掘って探させる・考えさせる必要がある、つまり「わかりにくい」作り方が極端なのではないかと思った。もちろんエヴァはわかりやすさや大衆向けエンターテイメントを売りにした作品ではないけど、いくらなんでも不親切ではないだろうか…わかりやすい場面や部分もちゃんとあるのだから、もう少し視聴者にわかりやすい構成にしようと思えば出来たと思うのに…

・哲学的な描写や台詞は面白いけど、TVシリーズと旧劇でだいたい見たことあるやつなので新鮮みや感動はなかった…

・作り直した新劇は確かに高品質だし、作り手の映像作りに対する熱意は感じる。けれど「物語」としてのエヴァは、映像の美麗さでは劣ってもTVシリーズが一番まとまっていたのではないだろうか。24話まで毎回面白く、回を追うごとに更に面白くなり、どんどん作品に対する熱、テンションが上がり、夢中で毎週見続けたリアルタイムの放映。得難い経験だったんだと、26年後の今振り返って改めて思う。

ミサトさんの死に様や、トウジと委員長の夫婦、生き延びたリツコさんやオペレーター3人組など、見られて良かったことももちろん多かった。でも一本の映画として考えると、新劇に「感動」は別にしなかった。「わからない」という気持ちの大きさがガッカリ感を出してしまった。

・率直に言って、脚本・構成などを含めた映画としての完成度は「シン・ゴジラ」の方が高いと思う…。

エヴァのアニメーション、表現、美術やカメラワーク、音楽の使い方などはもちろんすごい。けれど一つの物語としては、結局「世界系ロボットアニメ」の殻を破ってくれなかった、と少しガッカリしたのかもしれない。エヴァはそこを越えていくものだと思っていた。26年後の今提示する内容なら尚更。

 

とりあえずTVシリーズリアルタイム視聴勢としては、この完結編は劇場で見たかったので、見に行って良かったです。

後にアマプラで配信されると思いますが、映画館で見た方が「体験」として記憶に残るので。

 

分からないことが多すぎて、エヴァの本当の面白さに全然気づいていないのかもしれない。

これから色々な人の考察や感想を読んでいったら、また見方も変わるかもしれない。

これから時間をかけて咀嚼していきたいと思います!

 

↓漫画版エヴァ最終巻に、おまけのエピソードとしてマリ(&ユイ&ゲンドウ)の話が収録されています。未見の人はぜひどうぞ!

 

 

宇多田ヒカルの曲もいいけど、最後にどこかでもう一度「残酷な天使のテーゼ」を聴きたかったなあ。時代を越える名曲。