黄金羊の観劇記

観劇・映画・読書の感想を好き勝手に書いてます。東宝・宝塚・劇団四季中心、海外ミュージカル(墺英米)贔屓、歴史好き。

ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」2021年版3回目感想 〜黒羽ロミオ×天翔ジュリエット再来祈願〜

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2021/6/6(日) 17時30分公演 B席2階L列30番台サイドブロック>

 

2021年ロミジュリ、3回目にしてラスト観劇!この回で全キャスト制覇出来ました!!

吉田ティボルトのソロがどの曲も良すぎて爆発四散しそうになったし、黒羽ロミオの「僕は怖い」が凄まじくて戦慄。

黒羽ロミオ、前回の観劇時すでに十分良かったけど、更に良くなってた!!
一つ一つの台詞への感情の乗せ方、動き、表情、歌のすべてにおいて丁寧さがすごい!!!細心の注意を全身に常にたぎらせている!!!素晴らしい!!!スタンディングオベーション僕は怖い!!!

歌と動きと表情の全てがこんなにも素晴らしい「僕は怖い」見たのは初めてでした!!歴代一位!!!

リプライズの「僕は怖い」も絶品。追放宣告からずっと床に伏せっていて、顔を上げたと思ったら完全に狂気に取り憑かれていた。
「誰より悲しむ、その人は…ジュリエット」の一言でスッと正気の表情に戻るのもすごい。

そういえばこのミュージカルにおいて、ベンボのソロは「どうやって伝えよう」、マキュのソロは「マブの女王」そしてロミオのソロは「僕は怖い」なんですね。

つまり「僕は怖い」はこの舞台におけるロミオのテーマとも言える曲なんだと、今回の黒羽ロミオを見て初めて気がつきました。

この曲をここまで掘り下げ、最高の域まで質を磨き上げ仕上げてきた黒羽ロミオの努力とプロ意識に脱帽です。

 

「世界の王」の場面は皆素晴らしくて、「時間よ止まれお前は美しい!!!」と叫んでしまった。
この曲はロミジュリで一番好きな曲だけど、歌詞の内容的には正直一番いらない曲だよなと今まで思っていました。その認識が覆りました。

ロミジュリは若者達の話で、若者達の生と死と命の煌めきを表現する舞台で、だから若者達が一番輝く場面である「世界の王」はある意味ロミジュリで一番大事で、ロミジュリの象徴的場面であるのかもしれない…と今回は思った。

もうね、世界の王の場面で仲良く元気に楽しそうに飛んで跳ねて踊って歌う若者達を見てると、青春の煌めきの眩しい輝きに目が焼かれて号泣しちゃうんですわ。
大人はね、大人になると、あの若者達の関係や姿が今の一瞬しか持続しない儚いものだとわかっているから泣いちゃうんですわ。

だからロミジュリは常に若者達にやって欲しいなと今回も思った。
あと「ロミオとジュリエット」という演目が存在することに大感謝した。
この年代の若者達が大勢出演できて、世界的に知名度抜群な内容で、曲も良い本格ミュージカル演目。存在してくれてありがとう…。

 

キャストの感想。

 

・伊原ジュリエット

すごく等身大の、十代後半の女の子。
反抗期一歩手前。一幕時点ではいちおうまだ爆発はしていないけど、もうじき親に対する反抗を爆発させる寸前のように見えた。二幕で爆発。

芯が強い。外面はウレタンのような柔らかさもあるけど中身に鉄芯が入ってる。

小生意気で思い込みが激しくて、視野と世界が狭くて、精神的に未熟で子供っぽい…というか、子供。

恋に恋してる、夢見る女の子。
ロミオのことが好きなのか、ロミオを好きな自分が好きなのかわからない。

舞踏会で会ったパリスのことが嫌いで逃げたいと思っていたところに、ちょうどいいタイミングで好青年ロミオからプロポーズされたから、やったー渡りに船!!と乗っかった…という印象だった、バルコニー…。

意固地で頑なで周りの助言忠告に耳を貸さずに突っ走り、周りの迷惑も悲しみも考えず自分勝手な考えと判断で自殺までして…周りの親達も仲間もヴェローナも別に悪くないよ…親の言うこと聞いておけば良かったのに…パリスと結婚しとけば良かったのに、という…印象…

伊原ジュリエットでは、ロミオとジュリエットの結婚も死も文字通り「児戯(子供の遊び)」に見えてしまった。考えも行動も見通しも判断も何もかも甘く、というか深いことは何も考えずに自分の激情、怒り、感情だけで突っ走ったように見えた。自分の思い通りにならない事柄に癇癪を起こし、なんとかしてやる、と意地になって暴走した迷惑な子供。

とにかく台詞の言い方や動きがいちいち癇に触る。頑なで意地っ張りで、自分の力と経験と知恵の足りなさや視野の狭さに無自覚で、分不相応に大人と社会に反抗して張り合うこまっしゃくれた子供という雰囲気で、中高生の頃の自分を思い出して共感性羞恥が凄くて、見ていてそれも辛かった。つらい!!!

比べてみると、天翔ジュリエットは育ちが良く可憐で純粋無垢なお嬢様。
伊原ジュリエットは可愛い顔した高慢で我儘な女子高生…というような…印象。

天翔ジュリエットも伊原ジュリエットはどちらも外見は可愛くて、どちらも綺麗な声なんだけど、天翔ジュリエットの方が発声が安定していました。伊原ジュリエットは歌唱の発声が不安定で、声が出てないと思ったら次の節では取り返すかのように大声を出したりと、耳に心地よくなかった…。声は綺麗だと思うのでこれから頑張って欲しいです。

 

・味方ベンヴォーリオ

「どうやって伝えよう」が死んでました…。
他の歌はまだなんとかなってたんですが、ソロが完全に…歌えていなかった…。
演技はそこまで悪くはなかったんですが…。

最後の霊廟の場面では立ち直りが早く、岡大公にも冷静に挨拶して、皆を励まし立ち回っていた。唯一生き残ったモンタギューの中心格の若者として、今後ヴェローナを冷静に統治していきそう。

ベンボはもうちょっとマキュとロミの死のショックを引きずる様子を見せてくれる方が個人的には好みかなあ。

 

カーテンコールでは、ティボルトとジュリエットがセンターで踊るキュピュレット陣営の世界の王を見せてくれて嬉しかったです!!(伊原さんの経歴を知らなかったので、突然ジュリエットがキレッキレの動きでダンスを踊り出してビックリした)
その後、歌詞なしだけど、吉田ティボルトがソロで世界の王を歌ってくれましたーーー!!!これは聴けてよかった!!テンション上がりました!!!

吉田ティボルト、天国ではモンタギュートリオと仲良く楽しく友達として暮らしてほしい。

 

 

結論としては、1回目の観劇が一番好みでした。

いやー自分が何にハマるのか、どの人の演技やキャラクターが刺さるのかは、見てみないと本当にわかりませんね!!

黒羽ロミオのチケットをおけぴで探して買い足そうかと迷っていましたが、天翔ジュリエットとの組み合わせで見たいので今季は終了。来季もいてくれることを期待します!!

わかっていたけど、キャストでこんなにも印象って変わるものなんですね。

 

今回でわかったんですが、

私は、黒羽ロミオ×天翔ジュリエット派です…。

まただ…また公式と推しカプが違う…ッ!!1789では加藤ロナン×神田オランプ、フランケンシュタインでは柿澤ビクター×加藤アンリ、そして2021年版ロミジュリでは黒羽ロミオ×天翔ジュリエットの組み合わせが好き。茨の道!!!!!辛い!!!!!!!

今回見るまでは2021キャストの新CDかBlu-rayを出して欲しいと思っていましたが、今回の舞台を見て「私の推しカプは公式と違うからどうせどんな形でも残らないだろうな」とわかった途端、スンッと熱が冷めてしまいました。 つらい。


黒羽ロミオ×天翔ジュリエット×吉田ティボルト×堀内死のロミジュリは、劇場が宇宙に思える舞台だった。ここでビッグバンが起こっている!!という感覚で頭が弾けた。
前回と今回のロミジュリは、いつものロミジュリだった。

当初予定では前回と今回しか見ない予定だったのですが、この2回しか見ていなかったら今季ロミジュリの評価は全然違っていたと思います。

5/29のチケットを買い足して本当に良かった。初日付近で黒羽ロミオや吉田ティボルトの絶賛してくれたロミジュリマスター本当にありがとう。自分にとっての神舞台にはどこで出会えるかわかりませんね…。
そして「今回は神舞台だ」と思ったら、キャストの組み合わせがそれ以外のチケットをその後の日程で持っていたら、手放した方が良いかも…とも思いました。

 

ただ、初回を特に素晴らしく感じたのは、私の視界の問題もあったかもしれません。
初回だけはどセンターだったんですよね。どセンターは他のあらゆる角度と、舞台の見え方が明確に違う。フォーメーションやセット、全ての見え方が美しすぎて息を呑む。(劇団四季ライオンキングを見た時にも感じた)

この視界を味わってしまったら、どんなに後ろでも二階でも、とにかくあらゆる舞台をどセンター席で見てみたいという欲求が湧いてしまいました。
現在座席指定でどセンター席を買えるのは四季のロングラン演目くらいですが、今後の指針にしようと思います。前方サブセンターや少しズレるセンターより、舞台を真正面から見られる後方どセンターで観劇できる時はしよう、たとえ贔屓の役者が出ていても!!(今まで推しが出ている時はサイドでもいいから近くで見たいと思っていたので、決意を書き留めておく)