黄金羊の観劇記

観劇・映画・読書の感想を好き勝手に書いてます。東宝・宝塚・劇団四季中心、海外ミュージカル(墺英米)贔屓、歴史好き。

ミュージカル「SPY×FAMILY」感想 〜想定外ネバーエンディングストーリー〜

 

<2023年3月17日13:00公演 B席2階J列40列番台後半>

3月も半ばにして、ようやく今年初観劇!!

一昨年のマイフェアレディ以来、久々の帝劇で、とっても楽しみにしてました!ミュージカル・スパイファミリー!!

 

まずキャストの感想。

アーニャがばいいいいいいいいいい!!!!!!!!実写版破壊力やばいいいい子供役を子供がやるとこんなにも可愛い!!!!!もう初登場時から可愛くて可愛くて可愛くてやばい!!!!

朝夏さんのシルヴィア、登場した瞬間に優勝。優勝すぎるでしょ…2次元キャラのはずなのに本物が3次元におるでや…美脚、美脚、美脚でスタイル抜群。ハスキーな声もキャラに合ってて素敵。

森崎ウィンくん。今まで見たことなくて、ウィンくんを見てみたくてこの回のチケット取りました。演技は及第点なんだけど、もう少しキャラから真実味が感じられたら良かったかな。歌は朗々とした声が耳に心地よかったし、上手いんだと思う!思う、というのは今回の演目の曲が一つとしてピンと来ず、歌が上手いと思える瞬間がなかったから。そこにキャラが「いる」演技をすると評判の鈴木裕樹氏のロイドも見てみたかったな。私が見た回はキャスト全員歌に安定感があって、それはそれで良かったと思います。

ふうかちゃんのヨルさんも嫌味のないハマりっぷり!あのキャラを嫌味も違和感もなく生身で演じて自然かつ面白く魅力的にできるってすごい、さすがふうかちゃん信頼してる愛してる〜〜!
ウィンくんとふうかちゃんのデュエット、二人とも朗々と響く声してて歌聞いてて気持ち良かった!!
プロポーズ場面、アニメは笑ったけど、生身の人間が演じる舞台ではむしろ感動した…よかったねえ二人とも…!!

鈴木壮麻さんのヘンダーソンも期待通りのクオリティ。偉い立場の人の歌がちゃんと上手な安心感。

ユーリの岡村来夢くんとフィオナの山口乃々華さんは初見だったんですが、2人ともめちゃくちゃ全力でキャラになりきって、笑かしに来てくれて良かったですね〜!!

 

全体的にキャスト全員見た目も演技もハイクオリティで、3次元化大成功、良く仕上げてくれたものだと思います。さすが帝劇!

舞台装置も大掛かりでワクワク、演出も照明も大きな不満は無く。頭に残る音楽がないのは残念、やっぱりワイルドホーン呼んできてほしい。

進行がえらいゆっくりだな〜、原作を大事にするのはいいけどミュージカルとしては冗長だな、蛇足な場面もあるな、もうちょっと場面をザクザク切ってスッキリまとめて、テンポ良くサクサク進めた方が個人的には好みだな〜、歌にする必要性を感じない曲が多いのが余計に冗長さを強めているのかもしれないな、それにしても一幕終わってこれだけしか話が進んでいないけど、どこまで進めてどうやってまとめるんだろう?

と、幕間には思っていました。

 

が。

二幕が終わってみると、衝撃の結末。

話、終わりませんでした!!!

まさかの、物語放り投げ!!!途中でぶつ切られて終幕!!

こんなミュージカル見たことない!!!悪い意味で!!!

脚本と構成が酷い!!!!!!

いくらまだ原作が連載中とはいえ、原作者に相談してなんらかの決着をつけても良かったのでは!!??
このペースで進めてどうまとめるのかと思ったら、まさかの全くまとめないまま途中で終わられてしまった。呆然。

いや放棄すんなや!!!舞台版を作るなら舞台だけで一つの作品として見られるように物語を完結させてや!!!と心の中で吠えてしまった。キャスト全員めちゃくちゃ良くてクオリティ高かっただけに、めちゃくちゃ不満が爆発してしまった。

私はまだアニメ見てたから続きはアニメで見ようかと思えるけど、原作もアニメもまったく予習せず今後見る気もない人達に、何が残るんだこのミュージカルは!?ユーリもフィオナも演技も滑舌もめちゃ良くてアニメ通りの最高のキャラしてたのに、何のために出てきたのと思ってしまうやん今回の物語だと!!!特にフィオナ!!物語上存在意義が完全に不明っていうかむしろ存在が蛇足というか邪魔になってしまっているって何!!???キャストさんに謝れ!!!!

 

こんな風に作るくらいなら、デスノートみたいに原作が完結してから作った方がミュージカルとしての完成度上がったのでは!?

原作連載中で途中までしかアニメ化されなくてアニメとしてはガッカリ作品になってしまった数々の作品と同類感の悲しみ!!!
原作完結してから作り直してください!!!!!!

 

ミュージカルSPY×FAMILY、虚無ではない。キャストは全員良かったし漫画の実写化として完璧に近いクオリティだった。物語進行がゆっくりでダルく感じることもあったけど基本的に面白く、原作の細かいギャグを拾っていて何度も笑ったし、実写化の成功例として見る価値はあった。

でも物語を途中で放り出されたことで、終幕後すごくガッカリした気持ちになった。
物語をまとめるのはものすごく大変、でも観客のカタルシスにとってはものすごく大切なこと、そこを投げ出さないで欲しかった、ミュージカル版という一つの物語を見せて、作り手としての責任を果たして欲しかった。

 

もう、ぶっちゃけ帝劇でこんな物語上演して許されるの?って思った。

その他のクオリティは帝劇に恥じないものだっただけに。

なんで打ち切り方式で通したの??
連載中の漫画を無理にミュージカル化しなくて良かったのでは??
販促??流行りに乗りたいの??

とか、色々疑問と不満がふつふつと湧いてしまった。

こんな物語をやるなら、もっと小さい箱で原作ファンだけを相手にしてて欲しかった。

スパイファミリーの原作やアニメを知らず、これからも見ないであろう新規顧客や、帝劇という劇場そのものについている固定客に対して不親切だし不誠実だと思いました。

かくいう私も、今回のミュージカル化で初めてスパイファミリーを認知し、予習としてアニメだけ2期まで見た人間です。

結果アニメは面白く、スパイファミリー自体が好きになり、ミュージカルがますます楽しみになり、楽しみにしていたのです。

楽しみに!!していたのにッ!!!!!

 

ミュージカルSPY×FAMILY、ミュージカル版として一つの物語をちゃんと作り上げてまとめていれば、2.5次元の名作舞台の一つになっていただろうと思うので、とても勿体無い気持ちです。

アニメは面白いし、原作も面白いと思うので、物語の続きと終わり方は、私はそちらで確認します…うーんガッカリ。

繰り返しますが、物語以外は良かったので、物語がぶん投げられていても気にしない人や、原作ファンで3次元化を見たい人にはオススメできる演目です。

 

う〜〜ん、漫画が原作で、今後こういう、物語を完結させない舞台が他にも出てきたら嫌だなあ。今回も「帝劇でやるならクオリティは高いだろう」と信頼してチケット取ったのですが、まさかの落とし穴でした。