黄金羊の観劇記

観劇・映画・読書の感想を好き勝手に書いてます。東宝・宝塚・劇団四季中心、海外ミュージカル(墺英米)贔屓、歴史好き。

ミュージカル「オリバー!」2回目感想

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<2021/11/6(土) 12時30分公演 B席3階6列10番台センターブロック>

 

オリバー!2回目。川口ドジャーがどうしても見たくて、川口ドジャーの東京千秋楽日に見に行きました。

いやー良い舞台でした…!!
見る前は市村フェイギンだと存在感ありすぎるかなと思ったけどそんなことありませんでした!!オリバーやドジャーを始め、孤児院や盗賊団の子役達がバッチリ輝いていて、舞台全体のバランスが良かったし、フェイギンが主役の物語にも感じなかった!!カンパニー全体が前回より練られてよく仕上がった感じでした!!

3階で見てたけどスタンディングオベーションしました。楽近くにもう一度見て良かった!!!

 

 

・川口調ドジャー

良すぎて…小学生女児じゃないけどリア恋に落ちそうになりました…タスケテ…。

最終週には出演者数名が喋ってくれる特別カーテンコール(アフタートーク)があったのですが…。

 

<川口ドジャーへの質問コーナー>

質問①「粋な紳士の演技が素敵ですが、何かを参考にされたんですか?」

回答①「葬儀屋の歌の場面のサワベリー夫妻の手の使い方と、ミスター・グリムウィグ(お医者さん)の背がまっすぐ伸びてて姿勢がすごく良くて、それを参考に」

※この日のアフトクのメンバーは高畑オリバー・川口ドジャーKENTAROミスターサワベリー・北村ミセスサワベリーの4人

※ミスター・グリムウィグはサワベリー役者の一人二役

 

なにこの出来るビジネスマンみたいな回答!!??同席している大人に対する完璧なヨイショ!!!

質問は事前に聞いていたんだと思いたい、あの場で聞いて咄嗟にあの回答したんなら恐ろしすぎる川口君…何歳なの…。

 

質問②「バトンが川口君特別演出になった理由はなんですか?それともう一度川口君のバトンを見たいです」

回答② 演出に対する回答は特になく、ではもう一度川口君にバトントワリングを披露してもらいましょうという流れになって、

バトンを取りに袖に履ける時に川口君、
「オイラのバトン!!」

※本編二幕での「オイラの帽子!!」というドジャーの台詞を受けた言葉
と言いながら袖を指してポーズつけてくれました…。

機転をきかせてとっさに演技するその賢さが好きすぎる!!好き!!!

そして最後にもう一度川口ドジャーのバトン芸を見せて貰えて、もう大満足でした…!!

歌や踊りも含めて今回の「オリバー!」で一番心躍ったトキメキ要素は川口ドジャーのバトン芸だったので、本当にこの回に見に行って良かったー!!!!

 

川口ドジャーがこまめにジャケットの襟をただす動きが好きなんだけど、色々な動作や演技は全部考えてやってるんだろうなあ川口君…。

川口ドジャー、歌も上手いし演技も上手いしリズム感がすごくてダンスも上手いしバトンも回せるしまさに「芸達者」としか言いようがないのに、更に才気煥発さが全身から滲み出ていて、見るからに賢そう。一体神に何物与えられているんだ。

今年の「オリバー!」で一番の収穫は間違いなく川口調君との出会いでした。子役世代で一番の推しですわ…若い推しが出来て嬉しい!!長生きしよう!!

 

市村正親フェイギン

予想通りの良さです!!登場時拍手が起こったビックリ!!人気者!!!
宝石の場面でオペラ座の怪人の小ネタやりまくってくれてオタク達どっかんどっかんでした。

武田フェイギン市村フェイギンの方が、コミカルさが強くてキャラクター感が強いかな?
武田フェイギンの方が等身大の人間ぽさは感じたかも。二幕のソロの演じ方に。
市村フェイギンの方がラストシーンの後ろ姿の情感は深かった。フェイギンの人間ドラマを感じた。

市村フェイギンは「盗賊団の子供達の面倒を見てあげてる、団内唯一の大人で盗賊団の支柱」という印象。慈愛と父性愛を感じた。孤児になった子供達が、頼っても嫌がられない大人であるフェイギンの周りに自然に身を寄せ合って大所帯が形成されたという印象。父親がわり。

武田フェイギンはもっと子供たちと立場が近く感じた。良く言えば同等、悪く言えば精神的に頼りない。武田フェイギンは「盗賊団で最年長の長兄で、全員対等な盗賊団のメンバーの一人」のように見えた。父というより兄。

比べてみると面白い。どちらも良かったです!!

 

濱田めぐみナンシー

愛が深いですね!!二幕のソロ、DV男に洗脳されちゃった愛情深い女性って感じで…最後までそんな感じでそれがちょっと見ててキツくはあったかもしれないです。サイコパスDV男に「彼は私がいなきゃダメなの」とか言ってるのがなんか…変にリアルで…。

ソニンナンシーは「あーーーどう見てもダメな男なのに好きになっちゃったんだね、仕方ないねーー!!」と思える、不幸恋愛体質の女性に見えたんですが、そちらの方がまだ見ていてしんどくはなかった…はまめぐナンシーの二幕つらい…これはダメージ受ける人が多いのわかる。
濱田ナンシーは愛が深くて大きくて、愛されるよりも愛したいどころか、誰かに愛されなくても自分が誰かを愛していれば満足に幸福に生きられるタイプに見えた。盗賊団の場面で子供達に囲まれて、子供達に愛を注いでるだけで今十分幸せそう。

なのでビルからの愛情を感じなくても、自分が一方的に愛しているだけで満足、幸せ…だったのかもしれないけど…いややっぱりDV被害者に見えてしまって私はしんどかったです…。歌も演技もキャラも好きなんですが濱田ナンシー…物語上の役柄がしんどい…。

 

濱田さんも市村さんも子供たちに囲まれてる姿が良く似合って、子供達との演技の掛け合いもうまかったな〜〜。
印象をまとめると、子供達との関係、市村フェイギン&濱田ナンシーは父親&母親、武田フェイギン&ソニンナンシーは兄&姉って感じ。

 

個人的に、全体的に前回より今回のキャストの方が好きでした。

サワベリーは鈴木壮麻さんよりKENTAROさんの方が好みでした。驚き。私がTwitterで観測していた範囲の感想では壮麻さんの方が評判良かったんだけど、私は壮麻さんのサワベリーはなんだかキャラを掴めなくて、存在を薄く感じたんですよね。KENTAROさんのサワベリーは分かりやすく変な人で、動きに愛嬌(=親しみやすさ)を感じた。

濱田ナンシーはもっとズレるかと思ったけど意外とハマってたし、キャラクターも好きで、歌唱力も足して総合的に見たらソニンナンシーより満足度高かった。
フェイギンは市村さんも武田さんもどっちも良かったけど、市村さんの方がキャラクターの輪郭がよりハッキリしていてわかりやすかったかな。

 

川口ドジャーも高畑オリバーも良かったんですけど、オリバー!に出てる子役は全員うまかった。

救貧院の子供たちも盗賊団のメンバーも皆いいんですよね、動きも歌も。子役好きな人にはたまらない舞台だったと思う。

ビリーにも子役は出るけど、沢山出るのは女の子で男の子はビリーとマイケルの二人しかいないから、舞台で駆け回る少年達が好きな人にはオリバーの方がよりオススメです。

私は歴史劇が好きだから、その点もオリバーの方が有難かったかな。見てるだけで楽しくてどの場面も眼福でした。

いややっぱりいい舞台だと思いますオリバー!!マッキントッシュ卿が出してくる舞台のクオリティの高さよ!!隙がない!!質が良い!!!

 

私はオリバー!の楽曲がすごく好きなんですよね。最初の孤児院の子供達の合唱からオリバー!オリバー!と主人公の名前を連呼する曲、葬儀屋の曲も楽しいし、信じてみな、きっとの曲も大好き。高橋亜子さんの訳詞も良かった。日本語が滑らかで自然で。

メリポピとかオリバーとかマイフェアレディとか、楽曲が好きな古い演目を上演してくれるのは嬉しい。間隔が空いても良いから、なくならないで定期的に上演してくれたらいいな。

 

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シアターオーブ3階席からの眺め。(オリバー!東京公演は全日程カーテンコールの一部が撮影OKでした)

 

↓2009年ロンドンキャスト版CD。良曲ばかりで、観劇後こればかり聴いてます。日本版もCD出して欲しいなあ。

 

↓1968年映画版。オリバーが美少年。古い映画なので少し冗長に感じる部分もありますが、舞台の予習復習に最適。私はこの映画オリバー!の初見で、曲の良さが耳に残りました。