黄金羊の観劇記

観劇・映画・読書の感想を好き勝手に書いてます。東宝・宝塚・劇団四季中心、海外ミュージカル(墺英米)贔屓、歴史好き。

劇団四季「美女と野獣」2回目感想 〜新曲「チェンジ・イン・ミー」咀嚼〜

 

<2024/1/17(水) 12時30分公演 S席1階4列40番台後半 舞浜アンフィシアター

 

美女と野獣、2回目見て来ました!!
はあああ〜〜楽しかった…やっぱり多幸感が溢れてくる演目!!!好き!!!

 

前回はC席で見て、楽しかったんだけどやっぱり遠かったので、次回はもっと近く、できればセンターブロックで見たいなと思っていたので、実行しました!(前回の記事で値上げ前にもう一度見たいと言っていたけど、ウィキッド等他の演目を優先していたらリピートが値上げ後どころか年を超えてしまいました…ロングランしてくれて良かった)

4列目、めちゃくちゃ近い。表情が見える!!オペラグラスを使わなくてもオペラグラスより大きく自分が見えて、肉眼で表情が見える感動!!すごい!!

正直近すぎて、特定のキャラの顔や動きを凝視していて物語の進行と場面の転換においていかれる(気がつけば場面が変わっている)ことは何度かあったので、前方席に座るのはリピート回で良かったと思いました。初見でこの近さだと物語をきちんと把握できなさそう。4列目センターでそうなんだから、1〜3列目のましてやサイドブロックだったらより厳しいだろうな。

首や肩も疲れるし、チケット代もかかるし、特に凝視したい役者さんがいて何度も見る演目以外は、安い席で後方から1回だけ見るスタイルが私にはいいな、と思いました。やっぱり観劇は7〜10列目くらいが一番いいなー。(そんな良席で見たことほとんどありませんが)

ただ、臨場感と没入感がすごいし、普段豆粒サイズで見ている登場人物達が人間の大きさで目の前にいる感動はとても大きく、本当に嬉しかったです。ビルもビーストもモーリスも、ガストンもルミエールもコッグスワースも、皆目の前で「生きて」た…!!

実は前回からルミエールに推し(某墺国宰相)を重ねて見ておりまして、出てきて喋ったり動いたりしてるの見るだけでもう楽しいのに、大きなサイズで目の前で動いて喋ってくれる楽しさと幸せと言ったらなかったです。
今回もビーアワゲスト最高でした〜〜!!頭上に降ってきた金テープ、キャッチできました〜〜!!!神様ありがと輝く夜に!!!(テンション↑↑↑)

 

そして追加曲「チェンジ・イン・ミー」、今回は歌詞をよりしっかり聴き取れて、咀嚼しながら鑑賞できました!!

「もう子どもの頃の夢 

 手放してもいいわ

 今の私が好き」

って歌詞がグッサグサに刺さって大変でした。私自身が夢を諦めて大人になった立場で見たからもう刺さりまくり。

こんなにハッキリと、主人公が夢を諦める物語あった…!!?

美女と野獣、新演出で子供より大人が見た方が刺さる演目になってる気がする。
子供にはわからないでしょ、この曲の…沁み具合が…!!!

 

「ベルと野獣が出会って恋に落ち、結ばれて幸せに暮らす」という物語はそのままなので、「相手の外見にとらわれず、本質を愛する」「孤立している孤独な者同士が心を通わせる」といったテーマは変わらないのですが、その恋物語を外から囲むひとまわり大きな物語の構成が、旧演出と新演出で変わっているんです。

旧演出のミュージカルや、これまでのアニメや実写映画の美女と野獣は、構成的に「村を出て広い外の世界へ出たいと願っていたベルが、村の外の城という外の世界に行き、そこで幸せを見つける話」になっていたと思います。お城は「村の外の世界」ではあるので、ベルは「外の世界へ行きたい」という願いを叶えた、という構成に(半ば無理やり)していた。個人的にはそこが旧演出版の物語の納得いかない点になっていました。お城は村の隣の森の中にあるからかなり近所だし、そこで幸せに暮らすことは、広い世界へ出ていくことではないじゃないかと。

新演出版は、「村を出て広い外の世界へ出たいと願っていたベルが、近くの城に一生閉じ込められることになり夢を奪われ絶望するが、そこで出会った人との愛という想定外の幸せを見つけた結果、昔の夢を手放して恋人や家族と一緒に城に留まる決意をし、新しい幸せを大切に生きていく話」になっていました。

ディズニープリンセスが序盤で歌う「I wish」ソング、だいたいみんな要約すると「外の広い世界に出たい」って言ってるけど、その夢をバキバキに折られて「私の夢は叶わなかった!!でもいい!!今の世界と自分が好き!!」って最後に言った主人公、今までにいた?というか美女と野獣、そんな物語だった??

というのはまあ言い過ぎですね。ベルは昔の夢を「諦めた」とは言ってない。「手放した」と言ってる。そこもいいんですよ!!!!(膝打ち)

「諦めた」というとネガティブだけど、ベルは昔の夢が叶わないことに対してそんなネガティブな悲しい気持ちは抱いていない。「手放した」という言い方はまさにその通りだと思います。昔の夢を叶える必要がなくなった、もう昔の夢を追う気持ちが自分の中でなくなった、そういう心境だから「諦める」ではなく「手放す」なんだろうと。

チェンジ・イン・ミーは、歌詞を噛み砕くと、こういう意味↓だと思います。

 

「以前は、外の広い世界に出て自由に生きたいと思っていた。

 そんな自分は子供だった。

 城に閉じ込められて自由を奪われるという絶望を経験したけれど、

 そのおかげで自分の本当の理解者、愛する人を見つけた。

 その人と一緒に生きていくことが今の望み。

 だから昔の夢はもう必要ない。

 夢を見ていた頃よりも、今の方が本物の人生を生きていると感じる。

 そして、私はそんな今の自分が、昔の自分よりも好き。」

 

沁みすぎて涙で前が見えない。

美女と野獣美女と野獣ラブロマンスだし、城の愉快な仲間達は楽しいし、物語もわかりやすいので、子供や10〜20代の人にももちろん楽しんでもらえる演目だと思いますが、

「チェンジ・イン・ミー」の追加で、子供の頃の夢を手放した経験のある、でも今は今で幸せに生きている、30代以降の大人達にグッサグサに刺さる演目になったと思います。

新演出版でこの曲を挿入するのが、従来の美女と野獣の構成上無理があった点を解消するためにディズニーが出した解なのか、そうか〜〜!!!ありがと〜〜!!!

 

ベルは野獣の所に戻ってきたし、ベルの昔の夢がそのうち叶うこともあるんじゃないかな。

魔法が解けて野獣も城の皆も人間に戻ったんだから、野獣とベルの2人でも、パパ入れて3人でも、城の愉快な仲間と大勢でも、いくらでも広い世界に冒険に出られるでしょ!

これから夢も叶えていきな!!幸せになりな〜!!

と思わせられて、終演後に余韻も広がりました。

 

ベルというキャラ、今まで「読書好き」「集団の中で孤立している変人」という点には共感しつつ、「美人」という点が(私には)自己投影を難しくするキャラだったけど、新演出版では「変人と言われる孤独」の強調や、この「昔の夢を諦めて今の自分を肯定し、新しい幸せを大切にする」という考え方の追加で、共感度が鰻登りになってます。

旧演出版より、ベル内面の成長が感じられる。愛することとはなんなのか。野獣はベルを手放した。ベルは最初に父親を助けるために自分の自由を、次に野獣と生きていくために昔の夢を手放した。2人とも大切なものを手放す経験を経て大人になった…。
より人間的に深みがあり、わかりやすく成長を感じられるキャラになった新演出版ベル、大好き!!!

 

ディズニーの「美女と野獣」の中で、新演出版ミュージカルが一番好きかというと、2回目bの観劇でやっぱり物足りなさは強くなってきたので、私は出来るならアニメと旧演出ミュージカルと新演出版ミュージカルをぐるぐる回りたい派ですね!!

新演出版は特に二幕が駆け足で、

・お父さんが狂人と見なされて追い詰められてることがわかりにくい

・扇動された村人はその後どうなったのか気になる

など消化不良点もあるので、四季の新演出ミュージカル版はアニメか実写の映画を見て予習して、そのあたりを補足してから見るのがオススメです!