黄金羊の観劇記

観劇・映画・読書の感想を好き勝手に書いてます。東宝・宝塚・劇団四季中心、海外ミュージカル(墺英米)贔屓、歴史好き。

宝塚宙組「アナスタシア」2回目感想

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<2021年2月13日(土)11時公演 B席2階14列センター>

 

前回から10日後、2回目の観劇。

かなり良かったです!!印象がガラリと変わりました!!

前回は東京公演中盤で中弛みか疲れが出ていたのか、今回が週末の土曜日で客席にも熱気があるのかわかりませんが、役者さんの演技と歌の熱の入り方が全然違いました!!特にディミトリ!!

マイペテルブルク、今日は良かった!!前回はやや萎んだ風船感があって残念だったけど、今回はちゃんと膨らんだ風船でした!!!聴いていてどんどんテンションが高くなって、最後には思わず拍手してしまう…そう!!この曲はそうであって欲しかった!!うおーーーーー!!!!(拍手)

前回より後ろの席で見ているのに前回よりずっと感動します!!舞台から届く熱の大きさが違う!!今日はB席までしっかり伝わる熱演!!!

 

ディミトリのソロはやっぱり追加されていたんですが、この曲の歌詞にIn a Crowd of Thousandsで歌われている出来事(パレード)の伏線があったことに今日気づきました!!インパクト薄いし気をつけないと普通に流してしまうわこれは!!でも伏線はとりあえずあったのね!!なるほど!!納得、スッキリ!!

 

アーニャとディミトリとヴラドの3人組、バランス良いし可愛いし好きが止まらない〜!!

やってることもキャラもほぼマイフェアレディなんだけど、ディミトリにはヒギンズのような嫌味や皮肉や女性蔑視がないのですごく見やすい。
アーニャも強く賢く行動力がある現代的ヒロインで、共感も応援もしやすいキャラで良いですね〜!!

元になったアニメ映画は途中までしか見ていなくてほぼ覚えていないんですが、ラスプーチンが悪役でもっとファンタジー要素が強かった気がする。舞台版は悪役がグレブになってだいぶ現実に近くなりましたね。ラスプーチンよりはグレブの方が多分私は好きだから嬉しい改変だな〜。

リリーとヴラドの熟年(?)カップルは、歌も演技も安定して上手いし、役柄もコミカルで愛せるし素晴らしい。皇太后様もだけど、脇がしっかりしていると物語世界に実存感が出てくれますね。

 

そう、物語に関しては、今回は色々解釈の幅が広がって楽しかったです。

最後に撮った写真。あれは勿論冒頭の写真との対比ではあるけど、「写真の中で増えた二人の人(アーニャとディミトリ)もこの時点で(このお話の中の)実在の人物、存在としては「死」を迎えて、あとは伝説の中で生きるだけの存在になった」(のかもしれない)ということに今回気づきました。その後の二人の行方は誰も知らない(のかもしれない)…。
アーニャは作中ずっと肉体を伴う幽霊達と踊っていたし、最初から「どこまで本当でどこから夢かわからない御伽噺」という体裁の話だったのかな。

だから最初に本が開き、最後に本が閉じられたのか。これはあくまで「本の中の物語(もしくは伝説)」。なるほど!!

 

そもそも私が「過去への旅」というタイトルを見た時に抱いた印象と、実際の歌詞の内容は違ったんですよね。

曲タイトルだけ見た時は実際に過去の世界へ行く話なのかと思ったのですが、実際は主人公が自分の記憶(内側の過去の世界)を取り戻す話だった。あらやだファンタジー脳で勘違い。

でも今回、ラストはアーニャとディミトリがロマノフ家の亡霊達と一緒に消えてしまったようにも見えた。未来に進んでいく現実から遊離していき、「過去の世界の人」になったように見えた。まさかここでJourney to the pastのタイトルの回収!!?(※個人の空想です)

グレブの最後の台詞が好きだったんですよね。正確に覚えていないけど、「我々はこれから未来を生きていかねばならない」というような。

「アナスタシア」はロマノフ朝、過去のロシアに属する物。これから先のソ連には不必要なもの。存在してはいけないもの。グレブもアーニャに言った。「もしも貴女がアナスタシアなら、私は貴女を殺さなければならない」。

だから「アナスタシア」に戻った時、アーニャは過去の世界に留まらねばならなくなった。「アナスタシア」としてはあれ以上先の時間に存在することはできない。

最後の場面で舞台の外、脇の部分の花道にいたナナやブラドは、ここから先の時間軸でも本の外側(現実世界)に実在する人達で、あのまま未来へ進む。

一方、写真を撮られて本の中に閉じられることになったアーニャとディミトリは、これからは過去の世界に生き続けるのかな。だから本は閉じられた。

そういう…お話という…解釈も出来るのでは…?(ろくろを回すポーズ)

 

…個人の解釈というかただの妄想を長々と語ってしまった。

過去の世界を愛する、過去の世界でしか生きられない人を長年推しているので、そういう世界が存在する可能性がある物語世界があるとつい深掘りして妄想して熱弁してしまいます。

まあJourney to the pastは「未来をより良く生きるために空白の過去を埋めたい」という歌であって「過去の世界を取り戻してそこに帰りたい」ではないんだろうとは分かっています!!!(英語歌詞をよく分かっていないけど、曲調やアーニャの元気で前向きなせいかくから前者であろうことは想像がつく)

 

初回はキャクターや物語を理解していくことだけで精一杯で、2回目でようやく舞台上の情報をちゃんと咀嚼できるようになってきたんですが、アナスタシア、演出と照明と舞台セット全部好きです!!

 

・舞台セット

アナスタシアは全体的に盆の使い方が好きなんですが、東京宝塚劇場の奥行きのある舞台をうまく使っていて、回転してきた時に見えたものに驚かされて楽しい。
特に列車!!立体物で出てきた時最初びっくりしました。あれはすごい!!二幕のアレクサンドル3世橋も好き!!あんな物たちが丸ごと舞台に乗ってしまうんだから凄い。大掛かりな舞台装置は見ていて心躍ります。

 

・映像

要所要所で常に綺麗な背景を映し出してくれて見ていて楽しいですが、特に1幕ラストの、丘の上の森からパリの街へと移り変わっていく景色が、スピード感といいスケールといい最高!!ディズニーシーのソアリンに乗ってるようで、もはやアトラクションのスケールです。

 

・照明

今回はB席後方のほぼ真ん中にいたので、自分の頭上からスポットライトの光線が伸びている様が見ていて楽しかったです。

 

・アンサンブル

宝塚のアンサンブルは動きや振り付けが好きなことが多いんですが、アナスタシアでもやっぱりここは大好きなポイントの一つですね…!!

レニングラードの群衆、軍人達、列車の乗客などが、二階からだとよく見えて!!ぐるぐると渦のように動く群衆の迫力よ!!

役者の数の多さを活かした宝塚のアンサンブルの使い方は、他の舞台ではなかなか見られなくて楽しい!!

 

などなど。

演目にもよりますが、宝塚の舞台の豪華さはもうほとんどオペラじゃないですか…?
この舞台を3,500円で生で見られるなんて、なんというコスパ…。
ミラーボール綺麗…電飾綺麗…ありがとう宝塚…幸せな時間だった…。

 

アナスタシアは、いかにも宝塚らしい豪華で王道な演出、ハッピーエンドで綺麗にまとまった物語など、宝塚の入門にも、上級者にも幅広く受けそうな佳作ですね。Blu-ray買いたくなりました。

 

2月はアナスタシアしか観劇予定を入れず、アナスタシアに専心してチケ取りを頑張ったので、あと1回見られる予定です。無事に見られますように…!!!

3回目の感想に続く!!

 

Blu-ray発売中!お家でいつでもアナスタシア!!

 

↓宝塚宙組版CD

 

↓ルサンク。舞台写真や場面の解説が見れます