<2025/1/11(土) 13:00公演 補助席1階中列50番台端席 @帝国劇場>
今季最初で最後のレミゼ!
改修前の現帝劇に入る機会もこれが最後で、レミゼもですが帝劇という舞台を噛み締めて来ました。
日比谷シャンテの1階に入っているパン屋「ル・プチメック」で買ったサバサンドをロビーで食べて昼ごはん。現帝劇ロビーで食べる開演前ランチもこれで最後と思うと感慨です。
レミゼに出会って、今年で20年。自分も歳を重ね、世界や社会の状況も変わってきました。
ぬくぬくとした劇場で、板の上に乗せられた見せ物としての貧困劇を観ている自分に一抹のグロテスクさと申し訳なさも感じたりもしつつ、やっぱりレミゼは面白かった。
石井ジャベール。
厳しさがないジャベール!!?真面目さ70良い人30厳しさゼロ!!?そんなことある!!??いやめちゃめちゃ良い人じゃない!!?滲み出てない!!??
正直、見る前は石井さんってジャベールやるには歌唱力が少し足りないのではという不安があったんですが、やはりミュージカルは総合芸術なのだなということを思い知らされた石井ジャベールのキャラの良さ。好き…!!
驚いたのがルックダウン(再)になって白髪混じりで再登場してきた時、それ以前より一段階低い声に発声を変えていたこと。すぐ気づくほど明らかに声を変えて(加齢を表現して)いたのは石井ジャベールだけで感動しました。あれは前回の出番から月日が相当経っているとわかりやすい!!観客に親切!!!
再登場後は3%くらい厳しさが存在してたけど、下水道から出てきて「1時間だけくれ!」というバルジャンに対して歴代見たジャベの中で最速の「行け!!」を繰り出していて、あなたバルジャンを行かせてあげたくて仕方かったでしょ感!!!
自殺めちゃくちゃ良かったよ〜〜!!!なんでこんな良い人が人生の迷路に迷い込んで苦悩して最後には自殺!!?完全に合ってない職業選んでしまっただけの不運パターンでは!!??
天国に行ける人は白いライト、行けない人はライト無しで死ぬ、という情報を胸に刻んで今回はジャベの自殺を見てたんですが、確かにこのジャベが救われるかというとそういうこともなさそうで、難しいし可哀想。良い人が悩んで迷って自殺して天国にも行けない世界ってなんなんだよ神よ…。
清水エポ。
総合力めっちゃ高い。可愛い声にオンマイオウンの突き抜ける声量と歌唱力、そして盗賊団の一員としても自然な俊敏な身のこなしと鋭さとはすっぱさ…!!すごく良かった!!!
近藤R。
純粋にビジュアルがめっちゃ好みで泡吹いて倒れそう。
えっスタイル良くない?足長くない?カッコよくない??二次元みたいなRが三次元にいる????
ありがとう…ありがとう…。
グラアン。
私の目は二つしかないので今日は割り切って他を諦めてグラアンだけを注視していたんですが、一幕でグラアンつきあってたように見えました…。
レッド&ブラックでRがアンジョの頬を触ってビックリしていたら、その少し後にアンジョもRの頬を撫で返していた。何????
ラマルクの死から熱狂していく学生達を客席から遠巻きに見てつらみを感じた。ああいうのって参加して一員になって熱狂の渦中にいると楽しいんだよなあ。
そして明かりに照らされて輪になるその学生達から離れた暗い影の中に一人でいたR、突然学生達の中に寄って手を突っ込んで何をしたかと思うと、熱狂する群衆の中にいたガブローシュを引っ張り出してきた。全私が感動して泣いた。
いや、やっぱりRは大人だった。あの場にいる誰より冷静で大人。子供を子供として認識してちゃんと避難させようとした。えらい。
ガブってすごく大人だし頼れるし、皆彼を一人前扱いするし、実際ガブはそれに相応しい精神をしているのだろうけど、ガブを実年齢なりの子供として扱ってくれる大人が、あの場に一人でもちゃんと居てくれて嬉しかった…。
戦力になる頼もしい子供は戦力扱いしたくなっちゃうけど、やっぱり子供なんだから危ないことには巻き込まずにあらかじめ遠ざけてあげることを考えてあげて欲しい。大人には。
今回出産後に観る初めてのレミゼで、出産よりも加齢の方が感想の変化に与える影響は全体として大きい気がしていますが、このあたりの感想は親になったからこそ出たものかもしれないなあ。
アンジョとグランとガブがもはや母父子いう構図は新演出でしっかり確立していたんですが、今日はガブ死からが初めて見る光景でした。
ガブ死の時、白いライトの照らす一直線の光の中に、ガブとアンジョとRの3人が上からまっすぐ並んで照らされていました。
そして撃たれて上から落ちてくるガブを降ろして抱え直したアンジョの図が、完全にピエタ(嘆きの聖母)像と一致。
小林アンジョも砦全体も、最初の「ここが俺たちの死に場所」からずっと地に足がついてる感じがなく、死ぬことや革命をどれだけ現実に捉えているのかわからない感じがあって、その後のドリンクウィズミーでもずっとそうだったんですけど、ガブが死んだ後ずっとアンジョは二の腕で顔を覆ってて、そのあと涙を拭くような仕草をして(実際には泣いていなかったように見えたけど涙を拭いたように見せたかったことは確かだと思う)その後死ぬ前の最後の歌、死のう、とか死ぬのだ、とか、この最後の「死ぬ」の台詞でようやくアンジョに死ぬ覚悟ができた、死ぬことを受け入れる腹がくくれた、という感じがしました。
アンジョは死ぬ前にRと見つめ合ってハグしてたんですけど、私にはこの二人が、完全に「子供を喪って、自分達も死ぬことを決めた両親」に見えたんですよね…。子供(ガブ)を喪ったことで、腹を括って後追い(心中)をしたように見えたなあ。
(余談ですが、今回アンジョが前のめりに倒れながら落ちていく様子がなんかダイナミックにえらい勢いで吹っ飛んでいってるように見え、ご本人あんな勢いで落ちていって怪我とか大丈夫なのかとハラハラしました)
その後、ガブの遺体が舞台の隅に打ち捨てられているのが可哀想で辛いと思っていたら、回収されてアンジョと同じ荷台に乗せられて…良かったねえ、親子一緒に戻れたねえ、と涙しました。願わくばそのまま、二人一緒に埋葬してあげてほしいと思いました。Rの遺体はどこにいったんだろうなあ…。
端席のこと。
今回は文字通りの端っこの席で、レミゼをこんなに端っこで見るのは初めてだったんですが、びっくりするくらいオフマイクの声がたくさん聞こえました。
いつも他の方の感想読んでいて、そんなにオフマイクの声聞こえたことないけどな〜と思ってたんですが、席によっては聞こえるのかもしれません。
合唱の声の厚みやオケの音の響きもいつもより明瞭に感じられて、全体的に音がよく聞こえた気がします。これが…壁際の音響…!!?
当選した席が端っこだと知った時、あちゃー端っこかーとか、お正月の間に首を痛めてしまったのでずっと横を向いて見るの辛いなーとか思っていたんですけど、今まで見たことがなかった舞台の奥の方の景色や人物の表情が見られて良かったです。
やっぱりどんな席も敬遠せずにありがたく座らせていただく精神で座ってみると、新しい発見や楽しい経験があるんですねえ。
端っこ席は音響が良く、真ん中からは見られない景色が見られるので、リピート演目には大いにあり!
ただやっぱり目と首と腰は疲れました!!
レミゼを見ると、バルジャンや他の人々の生き様に自分も反省を促されますね。
私は大事な娘を放り出して何を観劇にうつつをぬかしているのだ、ごめんよ娘ーーー今帰るよーーー!!!と劇場を走り出た私が向かった先は。
日比谷シャンテのル・プチメック。
そしてリュバーブのデニッシュ(2個目)とその他のパンを家族へのお土産に購入しました。
こちらのパン、開演前にランチのデザートにと買って食べたら初めて出会う衝撃的な美味しさで、レミゼを見た後私をもう一度お店に走らせ2個目を買わせた逸品。リュバーブの酸味とチョコクリームの甘さとデニッシュのサクサク感のハーモニーが絶妙で最高でした。
アラフォーになりそれなりに経験も重ねて、人生で「感動」出来る機会がだんだん少なくなってきた中、数百円で感動できたことにまた感動したんですよね。
この日見たレミゼの舞台とリュバーブのデニッシュ、感動の大きさが同じくらいか、デニッシュの方が大きいでした。美味しいパン屋さんってすごいんですねえ…!!
という訳で、
たくさんの楽しい思い出をありがとう。また観劇する日を楽しみにしてます、帝国劇場!!