黄金羊の観劇記

観劇・映画・読書の感想を好き勝手に書いてます。東宝・宝塚・劇団四季中心、海外ミュージカル(墺英米)贔屓、歴史好き。

映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」感想

<2024/1/4(木) 13:35〜 TOHOシネマズ市川コルトンプラザ

 

X(Twitter)でキャラデザの方のイラストを見かけ、公開前から気になっていた作品。

年末見ようと思っていたら「トットちゃんが傑作」との評判も耳にし、早めに見た方がいい(上映回数の減少が早そう)なのはトットちゃんだと判断し、まずはトットちゃんを鑑賞。

年末にコミケでの盛り上がりの様子をTwitterで眺めつつ、年明けにようやく観に行くことができました!!

当日は夫と一緒の鑑賞だったので、腐萌えしたらどうしようかと思っていましたが、私は腐萌えはしませんでした!でも腐萌ポイントは理解でき、作品としては純粋に面白く、非常に良い塩梅で見させていただきました。

 

目玉の親父があまりにも良いお父さんで…これはイケメン、あまりにもイケメン、これは惚れるわ…そしてこんな良い男が惚れてる岩子さんも相当良い女なんだろうなと思わされました。素敵夫婦…!!

 

自分でもこの作品を見るまでこんなところに傷があるなんて思わなかったんですが、私、水木の昭和のモーレツサラリーマンぶりが何故か嫌な意味で胸に刺さって見ていて苦しかったです…。
自分の父親が、あそこまで強くは無いもののややあんな感じの価値観で人間だったせいかもしれません。自分はあんな生き方、あり方はしたくない、令和になって良かった、令和の働き方と生き方の方が私はずっと馴染む…と、しみじみ思いました。昭和の人間の解像度が高くてしんどかった。

 

PG12納得のグロシーンは覚悟していたけどやっぱりキツかったのと、何より時貞とかいうクソジジイがマジで胸糞、視界に入れるのも台詞を聴くのもしんどいレベルなのがリピート意欲を削がれる…。

 

でも昭和の生活や戦争の描写は丁寧で良かったなあ。

列車内で漂うタバコの煙、因習村の美しい風景、水木先生の実体験を元にした悲惨な戦争。

アクションシーンでは輪郭線が波打って驚いた!カメラワークも勢いもすごい。

話もサクサク進んで退屈しないし、沙代ちゃんや時弥くんは可愛いし(でも2人とも可哀想すぎて辛い)、音楽も美しいし、最後にはカタルシスもあるし、グロと胸糞を差し引いても印象に残る良作で、トットちゃんに続き、こちらも映画館で集中して見られて良かったと思う作品でした。

 

お墓から生まれて来た鬼太郎がムチムチで可愛すぎて、もっと赤子の鬼太郎見ていたかったです。一瞬すぎるー!!!

生まれた直後から新生児ではなく生後数ヶ月の姿なのは、お母さんのお腹にずっといる間に成長していたってことなのかな…岩子さん…泣。

ラストのゲゲ郎と岩子さんがあまりに辛いのと、それでも生まれて来てくれてありがとう鬼太郎の気持ちと、全員幸せになってくれよ!!!!の気持ちと、赤子鬼太郎が鬼のように可愛い!!!!!!!!!!の気持ち、鑑賞後は色々な気持ちがぐるぐるしていました。

親父と岩子さんと水木の幸せ育児編を永遠に見ていたいよー。それだったらリピートしたいよー。悲しい。

 

〜「墓場鬼太郎」1話をYouTubeで視聴〜

お……おぎゃーーーーーーー!!!!!!

墓場鬼太郎1話を見てみたら、見事にゲ謎をもう一度見たくなりました…おぎゃあああ…。
上で水木はモーレツサラリーマンぶりがちょっと…と言っておりますが、墓場1話を見た後はむしろその働きぶりを見られて良かった…と感想が一変。墓場の水木は会社で一生懸命働いてる様子がないしいつも暗くて元気がなくて、正直共感も好感も難しかった。でもゲ謎で戦争体験が詳細に描かれたから、あんな過去があったらそりゃ人生も価値観も狂うというか、独自のものになるよなって納得できた。

戦争生き残りからのモーレツサラリーマンからの、親父と岩子さんと鬼太郎から愛を知ってからの、社畜脱却マイホームパパ水木…なんですかね…ひ、ひえーーーひえーーーーうひえーーーーーそれはひえーーだわーーーゲ謎スタッフ上手いわーーーー!!!!!!!!

そして墓場1話と対応するゲ謎のエンドクレジット部分を舐めるように見たい…見て思いを馳せたい…あと赤子鬼太郎を抱きしめる水木の静止画をビジュアルブックに載せて欲しいしゲ謎の入場特典イラストも全部手元に欲しくなる、わかる。(入場特典はゲット出来なかったけどどんな内容かは知っている)親父も水木も良いけど、ちょうど1歳の赤子を育てている身なので、岩子さんが鬼太郎に頬擦りしている第三弾の特典イラスト、感情移入して泣いてしまった…。

 

トットちゃんもゲ謎も、子供や子供の誕生が題材の話なので、婚活中や不妊治療中だったら辛くて見られなかった気がする。自分が人生のどのステージにいるか、どんな環境かによって享受できるエンタメの幅が変わるし、見方や感想もガラリと変わることにしみじみします。

最近は子供が出てきたり、子供が活躍する作品を見るのが好きなんですが、昔はそういう作品を子供の立場で楽しんで、今は完全に親の立場で楽しんでいるので。

ようやく色々な作品をまた楽しめるようになってきたのは嬉しいことだけど、色々なものに触れるたびに辛かった過去の自分、その痛みも忘れないでいたいと思います。