黄金羊の観劇記

観劇・映画・読書の感想を好き勝手に書いてます。東宝・宝塚・劇団四季中心、海外ミュージカル(墺英米)贔屓、歴史好き。

劇団四季「アラジン」2回目感想 〜岡本ジャスミンに感動〜

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 <2021/1/8(金) 昼公演 A席1階最後列センター>

 

2021年の観劇始め、劇団四季「アラジン」!!2回目見てきました!!

今回も瀧山ジーニー!!念願の瀧山ジーニーリピートです!!大歓喜!!!

アラジンとジャスミン、カシーム、オマールが前回とは異なるキャスト。

 

岡本ジャスミンが超素晴らしかったです。

 

岡本ジャスミンの演技!!!わかりやすい!!!そう!!!この脚本上のジャスミンはその方向性で立てるのが!!!正解!!!!

 いや舞台の演技に「正解」なんてないんですけど、私が「この脚本ならジャスミンはこういう方向性でキャラを立ててくれたらしっくり来る」と思う方向でしっかりキャラを立ててくれてたんですよ、岡本ジャスミン

細かい動きや発言の抑揚で「自我がしっかりしていて勝ち気で強気、賢く機転が効きチャーミング」というキャラクターがしっかり伝わってきてとても良かった。とても魅力的なヒロイン。

出番の間だけでしっかりキャラを立てられていたから、ジャスミンの出番の多さはちょうど良く見えたし、アラジンとジャスミンの1回目のデュエットがしっかり頭に入りました。「アラジンとジャスミンが互いに惹かれ合う」という要素が最初のデュエット1曲でちゃんと成立していたので、その後の物語展開もとてもスムーズだった。これこれ!!!これが私が見たかった物語!!!!

アラジンもジャスミン、個々のキャラも良かったけど、2人の関係もずっとよく見えた。惹かれ合うのが自然で分かりやすかった!!

今までの求婚者は皆「財産が欲しいからジャスミンと結婚したい」だったけど、アラジンは「ジャスミンと結婚したいから身分と財産が欲しい」で、ジャスミンはそれが分かっていたから彼の嘘を知っても特に怒らなかったのかな。自分への愛が動機だったならってさらりと流したのかな?

地位も名誉も財産も愛してくれる親(しかも最終的にはよき理解者)もいて、財産ではなく自分自身を心から愛してくれている気の合う夫および王国の共同統治権を手に入れて実質女王になって終わるジャスミン、現代女性の究極の夢だな…。

 

岡本ジャスミンめちゃくちゃ素晴らしいなと思ったらCDにも収録されてるオリジナルキャストの方だったのですかーーーやっぱりねーーーーー!!!!???(今調べた)(納得)
演技がしっかり板についてたからジャスミン歴長いんだろうなと思いました!!

 

ジャスミンとアラジンの演技部分が脚本にきっちりハマったおかげか、他の部分の演技も良く見え、ジャファーとイアーゴの場面も冗長に思わなかったし、アラジンの「僕を信じて」も多すぎに感じなかった。

 

一和アラジンの「僕を信じて」、1回目のジャスミン宛は誠実で素朴。信じてと言った次の瞬間に捕まってるので間抜け感あるけど、ああジャスミンはこの言葉でアラジンに決定的に惹かれたんだなと感じました。

2回目の「僕を信じて」は、ジャスミンがアリー王子の正体に気づくために必要だった。
3回目のジーニー宛の「僕を信じて」はラストに繋がる伏線。

そして4回目、最後に、ジャスミンジーニーの2人にまとめて「僕を信じて」と言う。これが初めて、ようやく果たされ本当になる言葉。
更に最後、このアラジンからの台詞を受けて、ジーニーから「1万年生きて来た俺の勘を信じろ」という鏡返しの台詞が入る。物語としてはジーニーのこの台詞(とその後のアラジンの行動)が一番の盛り上がり所。

「僕を信じて」という台詞は、ジャスミンジーニーの2人に対して言う必要があったし、2人に対して言わせたからこれだけの回数になったのだし、どれも必要な台詞だったと今回わかりました。

乱発しているどころか、この台詞があるおかげでジャスミンジーニーのアラジンへの対比関係がわかりやすくて良いとさえ思いました。
というのも、今回はジーニーがちょっとアラジンに恋してるように見えました。「何かが芽生えた」と言ってる場面で。この台詞は美女と野獣の愛の芽生えの場面で使われている物と同じだだし、それはわざとだと思うので、解釈としておかしくはないと思う。

アラジン、ジャスミンジーニーの三人は全員「まるで籠の中の鳥」「自由が欲しい」と言っている、同類ですよね。最後は全員自分を不自由にしていたものから自由になって、ハッピーエンド。

ジャスミンジーニーは主人公アラジンと同じ主題(問題)を共有しているので、「アラジン」という舞台は物語的にはこの三人全員が主人公だと見ても良いと思います。

そしてアラジンとジャスミンの間に構築された信頼関係・愛と同程度の強さの絆がアラジンとジーニーの間に感じられれば、物語としてバランスが良くなるのだろうな。

前回の観劇時は瀧山ジーニーの存在感と実力が頭一つ飛び出ていたように見えましたが、今回はアラジン・ジャスミンジーニーが全員良く見えました。

 

アラジンの友人三人も良いですね〜〜〜!!アラジンとジーニーのバディ感が増したおかげか、アラジンと三人の友情もより強く見えました!!

前回も今回も、三人の中ではバブカックの白瀬さんが歌・発声・キャラクターの立て方が際立って良いなと思いましたが、白瀬さんもCD収録オリジナルキャストか〜〜〜!!!歌が!!!上手いわ!!!!

 

総じて前回は気になった脚本の隙間やキャラの薄さが、今回全く感じられませんでした。最初から最後まで一瞬もダレず、退屈せず、眠くなりませんでした。

2回目なのと、今回は1階だったから舞台がよく見えたということを差し引いても、今回の舞台の方が解像度が高かった。

キャストが全員脚本の穴をきっちり埋めていた。キャラの輪郭を確立させて、魅力的に仕上げてた。
力量バランスも存在感も、何の不満も違和感もない。パーフェクトでした。

 

いやアラジン、今まで見て来た中で最高の舞台なのでは?????

これが「答え」なのでは???この舞台の中に人生の全てがあるのでは????

と一瞬真面目に思いました。

 

父&娘、母&息子の親子関係、

親友三人とアラジンの男同士の友情、

ジャファーとイアーゴの上司部下・仕事仲間関係、

アラジンとジャスミンの恋、

アラジンとジーニーのバディ関係。
人間関係の要素が網羅されている。明確化される箇所が多ければ多いほど充実度が増して凄い濃度になる。

前回は気付かなかったけど、アラジンってこんなに色々な要素が詰まってる演目なんだ…。
ミュ版でアラジンがお母さんに言及するようになったのは父親だけ存在するジャスミンとの対比ですよね。おかげでマザコンぽくなってるけど。一幕ラストの締め方がお母さんへの語りかけだし。

 

私が「完璧」という時には、歌やお芝居、キャラクター、演出がいいということの他に「舞台上の要素(人物)全てに意味があり、その全てが意味のある繋がりを持って自然な展開をしていき、さまざまな伏線(物語)が張り廻らされ最終的にはそれが全て収斂し破綻なく一つに回収される」というような意味もあるのですが、

脚本のまとまり、伏線とその回収、スマートな演出、曲、役者の歌のうまさ、演技のうまさ、豪華な装置と舞台衣装、アクションあり、笑い、感動、友情、家族愛、恋愛、そしてハッピーエンド。役者によって脚本の穴を埋められたアラジンは、やはりほぼ「完璧」と言える演目だと思う。欠点が見当たりません。

 

以前に完璧だと思ったドンカミッロに比べると、話に深みが足りないかなとは思う。恋愛友情家族愛に加えて政治と宗教の話までぶっ込んできたドンカミッロに比べると、やっぱり主題の幅広さ、精神性の深さは物足りない。
でもあくまで浅いというだけで、形として完璧ではあったと思う。

比べて言うなら、完璧だと思ったドンカミッロも舞台装置や衣装が地味だという点があり、私はそれを足りないとも欠点とも思わないけど、そこが足りない点だと思う人はいると思う。
それに比べればアラジンの装置と衣装の豪華さ、煌びやかさ、眩しさは観客を楽しませて高揚させる工夫として申し分ない。

 

アラジン、私の中でディズニーミュージカルの暫定最高傑作です。あと200回見たい。

1人で見ても親子で見ても友達と見ても恋人と見ても楽しめる演目なところが最強だと思う。

100点満点で200点の満足度と完成度の舞台でした。多幸感がすごい。
この舞台見てると生きてて良かった、生まれて来て良かったって思えた。

 

2021年初めから、最高に楽しい神舞台を見られて幸せでした。ありがとうございました!!

願わくば瀧山ジーニーと岡本ジャスミンでもう一度見たいです!!!!