黄金羊の観劇記

観劇・映画・読書の感想を好き勝手に書いてます。東宝・宝塚・劇団四季中心、海外ミュージカル(墺英米)贔屓、歴史好き。

劇団四季「オペラ座の怪人」感想

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 <2020/12/27(日) 昼公演 C席2階11列センター>

 

2020年観劇納め!チケットが取りやすい間に劇団四季を見に行こう第四弾、オペラ座の怪人です。

四季のオペラ座京都劇場で公演していた時に一度見て以来です。あまり覚えていないけれど、クリスティーヌがファントムとラウルの間でフラフラしていて無責任で移り気、自分の意思や自我のほぼないお人形ヒロインに見え、音楽は良いけど話をあまり楽しめず、へーこんな感じか〜古典なんだね〜という感想で終わった記憶があります。(その後25周年記念コンサート版を見て認識を改める)

 

今回見たキャストのオペラ座の怪人は、以前見た舞台に比べると断然に面白い現代的新解釈でした。ありがとう新演出、ありがとう今回のキャストの皆様!!

物語の輪郭が明確でめっちゃ分かりやすい!!
相変わらず誰にも共感も感情移入もしないけど、理解はしやすくてとても良い!!

 

歌で殴り合うファントムとクリスティーヌ!!!
めっちゃ強いどすこい系クリスティーヌ!!!!

二幕完全にキャラ解釈のスイッチが入ってしまって笑いすぎて死ぬかと思った。

 

海沼クリス、細いところも弱いところが全くなく高音も低音も素晴らしい安定感で聴ける歌と声。それに加えて演技の効果で自我がしっかりしていて精神的に自立しているクリスに見えた。今まで見た中で一番「強い」クリスティーヌ。

ポイントオブノーリターンでファントムを殴り飛ばせそうな勢いと強さがあってもうゲラッゲラ笑ってしまった(心の中で)。押して押し合うどすこい歌バトルだった。

そもそもファントムを一人の男性どころか人間としても見てないクリスティーヌ。
彼女にとってファントムはパパが遣わしてくれた「音楽の天使」という高次元存在。
タダで自分に歌を教えて才能を伸ばしてくれた便利で都合の良い天使!!(けっこうひどい!!)

恋愛対象としてなどまして最初から最後まで眼中になし!!

あーーこのクリスはラウルとしかくっつきませんわ、更にラウルと付き合うことになったのも相手に告白されたからで、告白されなきゃ自分から擦り寄ったりはしないクリスティーヌですわーー!!!二人の間でフラフラなんて全然してないクリス!!!見ていてノーストレス!!!

ラウルとクリスは最初に会う場面で幼馴染フラグをしっかり立てていて、一幕最後のオールアイアスクオブユーはリア充カップ爆誕の流れが自然で説得力があった。
クリスもラウルも内面軽めのリア充陽キャラだから、そりゃここ二人くっつくわ〜〜!!!

芸術家肌で無駄に色々考えたり悩んだりするファントム先生はクリスと波長合わないわ〜〜〜!!音楽的に相性バッチリだったから勘違いしちゃった系だわ、人間的には相性悪すぎ全く合ってないよファントム先生!!どうして自分とクリスが上手くいくと一瞬でも思ったりした!!?と見ていて思った。

海沼クリスはラウルとがっちり幸せになれるしっかり者だったので、ファントム先生はまた別の推しを見つけて幸せになってください…。

 

岩城ファントムは、一幕が終わった時点では「クリスとラウルのリア充カップルに無意識に痛めつけられコテンパンにされる可哀想な陰キャのコミュ障(※めっちゃ歌うま)」という印象でした。

それが二幕序盤では「音楽に対しては真面目で熱心、理想が高すぎて理解されない孤高の歌うま芸術家」に変化。

一幕では等身大花嫁人形を出すというキモムーブをかましてしまったファントム先生だったが、その後落ち着きを取り戻しクリスの後援者として純粋な推し活と「僕の理想とする最高の舞台」の実現の為に勤しんでいた!!(二幕前半要約)

なので、もしかしたらこの人は大丈夫な人なのか、とクリスも観客も一瞬思ったものの、ドン・ファンの本番上演中に役者を殺して入れ替わってクリスにプロポーズするという大地雷をやらかしたのでクリスも観客も再度ドン引き!!やっぱりダメでした残念!!の回。(二幕中盤要約)

そもそもファントムが凸キャラ、クリスティーヌも凸キャラだから上手くいくわけないんだわ!!

目を覚ますんだファントム先生!!!その娘はお前のお人形さんではない、それは思い込みで幻影だ!!!目の前の娘はいざとなったらお前を拳でぶん殴り物理力で黙らせる強さを持つ猛者だぞ!!

ファントムもクリスもラウルも全員うたうまの強キャラだけど、あえて言うならラウルが一番引いてくれる、凹になってくれるキャラに見えたので、ファントム先生はクリスよりラウルとの方が人間的に相性が良く上手くいきそう。

なのでファントムが地下でラウルに「ならばお前がクリスティーヌの代わりになれ」みたいなことを言い出した時「それやで!!!」とすごく納得してしまった。
ファントムとラウルかクリスティーヌとラウルでないと上手くいかないよ…ファントムとクリスは相性が悪いよ!!

方向性としては「お互いにお互いの音楽的才能と実力は大いに評価しているのでコンビ組みたいと思ったものの、お互い自我が強すぎて上手くいかなかった芸術家同士のファントムとクリスティーヌ」が近いように感じました。
クリスティーヌが芸術家に見えたの初めてだな〜!!なるほど音楽の天使!!

とはいえそこまで言い切れるような舞台でもなかったので、今後更に演技が進化した頃にまた見に行ってみたいです。今度は各人の表情や演技がもっと近くで見られる席がいいかも。

 

そう、今回も2階最後列のC席での鑑賞しました。すっかりC席の怪人です。

2階最後列、音楽がよく聞こえてとても良かったですよ!!出演者全員歌が安定していて上手いし、オーケストラは生演奏だし、アンドリュー・ロイド=ウェバー作曲の楽曲が素晴らしいし、耳が幸せ。

アンドリューロイドウェバー、音楽作りめちゃくちゃ上手いな…と、支配人達とカルロッタの五重唱?六重唱?を聞いてて思った。

視覚的には、舞台は遠いけど全体が綺麗に見えるし、シャンデリアやファントムの出現場所など高い所にも見所があったので楽しめました。二幕最初の仮面舞踏会の階段上部などは見切れましたが仕方ない。

相変わらずC席コスパ最高でした。3,300円でこんな上質な舞台を楽しめるなんて僥倖。ありがとう劇団四季!!

 

↓四季版CD 

 

↓25周年コンサート版Blu-rayオペラ座の怪人史上最高の傑作と名高い。私もこれを見てやっとこの物語がすとんと胸に落ち、ファントムとラウル、クリスティーヌというキャラクターの姿が見えました。最高のキャスト陣に加え、フルオーケストラの流麗で重厚な音、豪華絢爛な舞台芸術と衣装、全てが世界最高峰。究極の完成度。人生で一度は見てほしい映像です。激オススメ。