黄金羊の観劇記

観劇・映画・読書の感想を好き勝手に書いてます。東宝・宝塚・劇団四季中心、海外ミュージカル(墺英米)贔屓、歴史好き。

映画「窓ぎわのトットちゃん」感想

<2023/12/20(水) 10:40〜 シネマイクスピアリ

 

年末に1本だけ映画を見られそうだったので、滑り込みで「窓ぎわのトットちゃん」観てきました!!!!

映画館で映画を観るのは「ロスト・シネマ」以来でしたが、「映画館で映画を見る」ってこんなに気持ち良いことだっけ…?ってくらい集中して作品の世界に没入できました。すごく良かった、楽しかった…ありがとう大好きシネマイクスピアリ…!!

お席に余裕があったので当日朝でも余裕で後方中央席で見られたし、前の列に人もいなかったので視界も大変よろしゅうございました。
映画館で映画を見ることの良さを体験できました。映画館で見て良かった作品だった!!家で小さい画面で見るのときっと全然違いました…映像のインパクトが…!!

 

全体の印象を一言で言うと、「とても誠実に作られている映画」でした。
原作者にも、多種多様な観客にも、歴史にも、あらゆる方向に誠実でした。

通学も、食事も、ちょっとした日常生活のすべてのことが、見ていてすごく面白い。画面のすべてが美しく細部まで「世界」が作り上げられていて、「この時代の生活はこんな風だったんだ」という(私にとっては)新しい発見に満ちている。情報量がとても多い。

「絶対に絶対に良いものを作る。絶対にだ」という、作り手の鋼の意志を感じる、隅々まで鍛え抜かれた作品。

今の時代に先の戦争を題材にした作品を作る人々、気合いの入り方が尋常じゃない。その他の生半可なものでこの気持ちの重さに太刀打ちできるものは無いと思わせられる、魂のこもった作品でした。

 

映像も音楽も役者さんの演技も良かったけど、トットちゃんのキャラクターが一番良かったな。
「子供」の解像度が…高い!!!!
黒柳徹子さん、よく自分の子供の頃の事や口に出した言葉をここまで鮮明に覚えているなあ…。私自身は、自分がこんな小さな頃考えてたことやしてた事なんて、もう覚えてないです。すごい。

かなり意志と自我の強そうな予感のする1歳娘を育てている身なので、「トットちゃん…数年後の娘の姿なのでは…!?」と、ちょっと未来を投影しながら見てしまいました。
トモエ学園、学校としてむちゃくちゃ良い〜〜〜〜!!娘、こんな学校に通って伸び伸び育ってほしい〜〜〜!!!とも思ったり。完全に親目線で見てました。

小林先生に弟子入りしたい。子供を愛する心と指導の仕方がすごい。小林先生…子供ってどうやって育てれば良いんでしょうか…私は迷ってばかりです。

 

原作未読だったので内容を知らずに見ていたものの、途中からうっすら、泰明ちゃんは……よなあ、と思ってました。

でもやっぱり実際に……れると、悲しくて辛くて…しんどかったです…。

その前の雨の中空腹を抱えて無言でリズムをとる場面(おそらく「雨に唄えば」をモチーフにしているのだと思う)が、色彩も音楽も何もかもが素晴らしく、名場面だらけのこの映画の中でも特に白眉の場面で感動しただけに…ッ!!!

 

鑑賞後、原作小説を買ったので、本棚に置いてあります。今読んでいるところですが、平易な文体でとても読みやすい。

数年後には娘にも映画版見てほしいな。自分でうまく教育できなかったとしても、トモエ学園の学園生活を見て「こんな授業や学校もあるんだ」と娘が知ってくれたら嬉しい。