黄金羊の観劇記

観劇・映画・読書の感想を好き勝手に書いてます。東宝・宝塚・劇団四季中心、海外ミュージカル(墺英米)贔屓、歴史好き。

ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」2021年版2回目感想 〜「堀内死→→→神」の面白さ〜

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2021/6/5(土) 12時30分公演 B席2階L列20番台センターブロック>

 

2021年ロミジュリ2回目。

舞台全体の印象としては70点くらい。特別なものは何も視えない普通の舞台だった。

そうだよなこれが普通だよな、百点満点で三千点だった前回が異常だったのだ…。

この舞台を最初に見ていたら、まあまあ良い演目だけど今季も観るのは1回でいいかなと思っていたと思う。黒羽ロミオと吉田ティボが良すぎたのだ…。

 

以下、キャスト感想。

・甲斐ロミオ

歌えていなくてびっくりしました…。

ところどころ台詞が棒読み、発声も不安で歌も…うーん…。
バルコニーの場面でジュリエットに「結婚して!!」と叫んだ後、両手を口に当てて「うわ!?僕なんてこと言っちゃったんだろ!!?」と自分でも驚いた顔をして、その後改めてジュリエットに向き直り、「結婚して…ください」と言い直した演技は可愛くて、そこで印象が良くなって持ち直しました。

歌も演技も、これからもっと…頑張ってくださいね…!!という感じ。

 

・新里マキューシオ

今までのマキュで一番歌えている気がする。歌が上手くて声が綺麗でびっくりした!!

ピンク髪と目の下の隈、肌の青白さが印象的。退廃的でけだるげな雰囲気も良い!

 

・前田ベンボ

前回より声が出るようになっていた気がする。「いいやつ」感あふれるマブダチ。

「狂気〜服毒」の場面で争う群衆を止めようと必死に走り回るも増幅する憎しみと狂気をどうすることも出来ず、その後自分の無力に絶望しながら舞台の中央に倒れ伏す一連の動きが好き。

 

・立石ティボルト

お顔がめちゃめちゃ整っている。超絶美形で長身、見た目華やかなティボルト。歌は普通に良く、演技とキャラクターは今までの外部ロミジュリのティボルトと一緒の方向性で、王道って感じでした。

 

方向性で言うなら立石ティボより吉田ティボの方がおそらく異端なんですけど、吉田ティボは演技とキャラクター作りが良すぎた。もがき苦しみ、血反吐を吐きながら「ティボルトの人生」を生き、散っていった。痛ましくて可哀想で、その魂の叫びに目が釘付けになった…。

 

・原田乳母

今季乳母の原田さん、今までの外部版乳母で演技が一番好きです。

二幕、乳母がどこまでジュリエットの味方で、どこからパリス派になったのかわかりやすかった。
喪中にパリスが来て、両親がジュリエットを彼と結婚させようとした時、乳母は反対してた。

キャピュ両親に反対できる力は乳母にはないから、これがジュリエットの為と自分に言い聞かせて、半ば自分を騙しながらパリスとの結婚を推した…ように見えました。
急な翻身には見えなくて、共感も理解もしやすかった!

 

・堀内死

日本版の「死」は、圧倒的人外感では初演再演の中島死に勝る死はないんですが、堀内死は堀内死で良い…表情が大きい!!マキュが死んだ時、帽子の下から見えてた顔半分、ニターって口を弧にして笑ってたの怖くてすごくよかった!!

ラストシーンの動きは固定ではないのかな?5/29と動きが違ったんですよ神父も死も!!

神父が「神よなぜ」と歌いながら十字架を見上げた時、今日の死はジーザスに張り付いてなかった!!
十字架の横棒にヤンキー座りして、左の掌でジーザスの顔を隠してた!!
ああああああこれも!!いい!!!

そして、堀内死…ロミジュリの愛をきっかけに人々が許し合ってヴェローナに愛が満ちて逆転敗北した後、ジーザスの横に移動して、少しの間、ジーザス像にすがるように抱きついていたんです…ジーザスの頬にそっと手を当てて、じっと顔を見つめて…その後痙攣して死んだ。

死が最後に神の愛?慈悲?を求めた???
初夜の後のロミジュリの別れと同じ構図だったんですよ…愛しい人の頬に手を当てて別れを嘆くロミオ&ジュリエットと同じポーズ、同じ動作を、死ぬ直前に「死」がした…
今回一番の衝撃。毎回ラストシーンでえらい妄想と解釈が捗るのは堀内死のおかげ。