黄金羊の観劇記

観劇・映画・読書の感想を好き勝手に書いてます。東宝・宝塚・劇団四季中心、海外ミュージカル(墺英米)贔屓、歴史好き。

映画「今夜、ロマンス劇場で」感想

Amazon primeに入っていたので視聴。

ちょうど今度宝塚月組で上演される新トップ公演のお披露目公演の原作映画だし、レビューの評価も高いので、楽しみな気持ちで気軽に見始めたら。

 

中盤から結末にかけて号泣してしまいました…。

完全に予想外。嬉しい驚きでした。

 

(以下ネタバレ)

 

 

序盤から中盤までは正直「中学2年生が考えたピグマリオン」的都合の良い設定と展開に少し辟易して遠目に見ていたのですが、主人公二人の中盤から終盤にかけての純愛ぶりと意志の強さに完全に泣かされました。

 

いやツッコミどころは色々あるんですよ。

・美雪はどうして現実世界に出て来られたのか(「あちらに行きたい」と強く願う程度で次元の壁を越えられるなんて、簡単に奇跡が起きすぎ)

・美雪はどうして自分が「誰かと触れ合ったら消える」ということを知っていたのか(前例がいたのか?以前こちらの世界にやってきて消えた人や、こちらの世界にやってきて元の映画の世界に戻った人などがいて、その人に話を聞いたのか?そのあたりの説明が全然なかった)

・「誰かと触れ合ったら消える」という世界の理はどこから生まれているのか(合理的な理由が存在するのか?あちらの世界の神様がそう定めた、とか一言でもいいので説明が欲しい。単なる恋の成就の障害にする為だけの設定だよなあ…)

・美雪のオシャレで可愛い数々の衣装はどこからどうやって調達されたのか(映画助監督の主人公の暮らしぶりを見るに、あんな高そうな服を取っ替え引っ替え買い与える経済的余裕は全くなさそうなのですが。映画の衣装を勝手に借りて着ていた…?)

・そもそも次元を超えて映画の中の人間がやって来たことについてもっと科学的に追究したいと思わないのか(ずっと好きだった映画の中の人が現実に現れた、やったーハッピー!!…で思考停止して、相手と恋愛することしか考えないって凄いな…)

などなど!!!

いやまあ「細かいことは言いっこなしのファンタジー恋愛映画」なのでこの辺は全無視でも良いんですけど。

 

姫役の綾瀬はるかがとにかく美しかった。衣装もどれも似合っていて着こなしも素晴らしい!!ただ男言葉の台詞の喋り方はあまりしっくり来なかった。

あと目を惹かれたのは、老年の健司役の加藤剛さん。亡くなる演技が素晴らしくお上手で、本当に亡くなっているように見えた…。目を閉じて口は少し開けている最期の姿がリアルで凄かった。

 

本編には過去の名作映画への様々なオマージュが散りばめられているそうです。

私が気付いたのは「ニューシネマパラダイス」「ローマの休日」「タイタニック」(ラストシーン)くらい。

ラストシーンに関しては、本家のタイタニックよりこちらの方が好きでした。どちらも号泣したんですが、この「今夜、ロマンス劇場で」は、白黒映画に色がついていくという着想が見事でこの上なく効果的で、物語としての着地点、まとまりが完璧で感動して泣いた。

 

いや〜試聴してよかったです。ここまでの純愛映画って久しぶりに見たなあ。

映画ならではの良さが詰まった作品だと思うので、宝塚がどうやって舞台化するのか楽しみです。チケット取るの難しそうだけどぜひ見てみたいなあ。