黄金羊の観劇記

観劇・映画・読書の感想を好き勝手に書いてます。東宝・宝塚・劇団四季中心、海外ミュージカル(墺英米)贔屓、歴史好き。

日米合作ミュージカル「RENT」感想

2024/9/7(土) 12時30分公演 S席1階12列10番台センターブロック 東急シアターオーブ

 

RENTは人類の宝ですね。
ありがとうジョナサン・ラーソン。

 

という訳で、日米合作版「RENT」行ってきました!!

RENTを見るのは10年以上ぶりくらいだったんですが、名曲に次ぐ名曲で名曲ばかりでビックリしました…。
曲も歌詞も素晴らしく良い。神作か?神作だった。

そして英語で見れて嬉しかった!!ブロードウェイオリジナルキャスト版が親で何千回聴いたかわからないくらい聴いているので、英語歌詞のメロディが耳に馴染む…舞台からあのメロディあの歌詞が聞こえてくる喜びに身震い。他の演目ももっと原語で見たい〜!!来日公演を見たい欲を掻き立てられました。

 

クリスタルケイのモーリーンは期待以上に素晴らしかった!

マークとモーリーンのタンゴモーリーンがめちゃくちゃ良くて、「この二人がこんなに惚れ込むモーリーンってどんな良い女なの!?」と観客に思わせたところで、期待を裏切らない女が出てきた!!!

クリスタルケイモーリーン、バイクに乗って後光を背負って登場する瞬間から只者でない存在感で、バイクから降りてヘルメットを取ったら顔カッコよし腹筋バキバキスタイル超よし歌うましパフォーマンスキレッキレ!!いい女だ!!これは惚れる!!!納得!!!物語におけるキャラの立ち位置も役割も解釈も演じ方も完璧で文句のつけようのない素晴らしさ!!ありがとうありがとう!!

 

そして山本耕史のマーク!!今回これを見るためにチケットを取った山本耕史マーク!!

日本キャスト版CDを聴いて以来見たくて見たくて、でも見られるとは思ってなかった山本耕史マーク!!!

期待通り、いや期待以上に良くて、理想のマークすぎて震えた。初演のアンソニーラップのマークは来日版で一度だけ見てるんですけどもうあまり記憶になくて、今私の記憶にある中では間違いなく今山本耕史が一番完璧なマークというか、もう動きも表情も声も一瞬一瞬のすべてがマークを体現していて何を語ればいいのかわからない。ただの本人になってる。

山本耕史の声、ブロードウェイオリジナルキャストのアンソニー・ラップに似ていて、そりゃ本人もかなり聴き込んだんだろうし歌い方も似ている気がして、舞台見ながら「口からCD音源!!?」という錯覚を何度かしてしまった。

そして顔カッコ良いし歌上手いし服の上からもわかるマッスルに俊敏な動き、細かい演技に指先までコントロールしたパフォーマンス。すごい。

比較的近めの席だったので基本肉眼で舞台全体を見ていたんですが、表情もちゃんと見てみたくてタンゴモーリーンの場面でオペラグラスで覗いてみたら、一瞬一瞬細かい上に丁寧で大胆で分かりやすい表情を音楽に乗せてくるくる変える演技をしていて驚愕しました。表情なんて遠くの観客には伝わらないところでまでそんな細かく完璧な演技を・・・しかも音楽に乗せて身体も動かしながら表情も連動させて・・・山本耕史・・・!!!!

ラヴィボエームもファットユーオウンも心の中でショーストップ!!曲自体が良いんだけどそれを表現する山本耕史の歌とパフォーマンス!!!座長ーーー!!!!

山本耕史、ラヴィボエームで机の上に乗り上がったり寝転んだりめちゃくちゃ動くんですけど、全部の動きが柔らかく音もなくシームレスで素晴らしいパフォーマンス。一瞬でも目を離したらもう違うことしてるから目で追ってついていくのにこちらも必死になる。円熟の演技力と20代顔負けの鍛え抜いた筋肉による動き。すごすぎ。

「俺はこのクオリティのものを観客に見せる、絶対にだ」という揺るぎない意志と気迫で素晴らしいパフォーマンスを毎秒毎秒繰り出しているのが伝わってきました。舞台の上で一瞬たりとも気を抜いていなかった。

ミュージカルにおいて、日本人役者は歌唱力で海外キャストにどうしてもパワーでは届かないと思うことがあるのですが、そんな偏見を吹き飛ばす山本耕史マーク。鍛え上げた肉体でのキレッキレのパフォーマンスにブレのない歌唱、そして日本人役者の良さ「演技の丁寧さ」を最大限発揮して、今回の日米合作版RENTで間違いなく一番の存在感と完成度とエネルギーで主役として君臨していました。間違いなく世界トップレベルのマーク。世界の山本耕史

今回の日米合作RENTは主に山本耕史のために作られたような舞台だろうと思っていたのですが(若手日本人キャストの中に山本耕史が混じると年齢的に浮いてしまうけれど、海外キャストの中に混じれば比較的浮かないので)(それが実際そうなっていてとても良かった)、素晴らしいものを見せていただきました。見られて本当に良かった。

企画制作してくださった皆様、そして演じてくださった役者の方々、本当に本当にありがとうございます!!!

 

RENTは5年に1回くらい見て気持ちを新たにするのが良いですね。

no day but todayの心、近年忘れていた。毎秒毎秒気合い入れて生きねば!!と思いました。

RENT、メロディも良いけど歌詞も良すぎじゃ無いですか?字幕読んでて泣きまくる名歌詞なんですが何食べたらあんな詩書けるの?クンツェさんの歌詞にはずっとそう思ってましたがRENTも良すぎる。亡くなってしまったから余計そう見えるのだけど、当時のジョナサンラーソンの実感と魂の叫びがこもった、血で書かれたような歌詞に見えて涙が出ちゃう。what you ownの歌詞とか。世紀末のアメリカで死に行く俺たち…!!

20代で見た時と今見た時では抱く感情も違ってて、違う感情を呼び起こされる。自分が子を産んで親の立場になったのも大きい。RENTのキャラクターたちはなんでみんなあんなに行き詰まっても親に連絡取らないの?親はあんなに何度も電話してるのに…日米の文化差?わからない…。

感情移入はしなくなってるけど、物語を俯瞰して見られるようになったおかげでより感動できるようになったこともあるのか、コリンとエンジェル、ロジャーとミミの愛が今回はどちらもスッと入ってきて泣けました。特にコリンとエンジェル、ほんとに純愛。

 

毎回RENTの終演後はほろ苦くて、ラストにミミが生き返っても「どうせすぐに死んじゃうんだろう、その場しのぎで甦ってぬか喜びしたって…悲しみと苦しみと不幸を少しばかり先送りしただけ…」と思ってたんですけど、今回は「いや、この後たとえどれだけ生きられるかわからなくても、ロジャーとミミは想いを伝え合ってわかり合ったのだから、これからの日々はとても幸せで貴重なものになるはず…その日々を過ごさずに亡くなってしまうよりずっと良かったんだ…良かったなあ…!!幸せに生きろよ!!」と思えたし、なんならエンジェルが起こした奇跡でこの後全員老年まで元気に生きて幸せに暮らしましたみたいな未来もちょっと見えたんです!!!!泣
RENTってもしかして…ハッピーエンドだった…!!?そうか私がハッピーエンドだと思えばハッピーエンドで、この後にそんな未来が来るかもしれないのか!!!物語は自由!!!とまたひとつ目から鱗が落ちる体験をしました。ありがとう日米合作版RENT。

 

私が見た回はロジャーがアンダーの人で、歌も演技もしっくり来なくてマークと対等感が無かったので、全員ファーストキャストの日に1回見たかったな〜という気持ちがちょっと起きました。

でも今回は私をミュージカルにはめてくれた留学時代の友人達とはじめて一緒にRENTを見られて、幕間や終演後にこの舞台の初見の感想を友人達と分かち合い、すごく楽しく語り合えたので、1回しか見られなかったけど、それもまた良しでした!!

 

次に言語で見る予定のミュージカル(SIX)は2枚くらいチケット取ろうと心に決めた私でした。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!