黄金羊の観劇記

観劇・映画・読書の感想を好き勝手に書いてます。東宝・宝塚・劇団四季中心、海外ミュージカル(墺英米)贔屓、歴史好き。

ミュージカル「デスノート」感想

2020年1月、再々演の新生デスノート見てきました…
良かった……めちゃめちゃ良かったです……
ミュージカル初舞台の人が複数いたこと、プロモーションビデオの歌唱やインタビュー記事を見ていて惹かれるものがなかったことなどから、開幕直前まで観劇は見送ろうと思っていたのですが、舞台未見で私にCD音源だけ聞かされていた夫が駅で広告を見つけ、「一回見てみたい」「なんなら一人でも行く」と言いだし、夫が主体的に、こんなに熱くミュージカルを見たいと言ってくれたのは初めてだったので、村井ライト(以下むらいと)東京楽回のチケットを取ったんです…
ありがとう夫…貴方が正しかったありがとう…見て良かった超良かった…。

 

新生デスミュは、総じて物語がわかりやすく明快で、解像度が上がった感じ。
全員歌も演技も良いし、ミュージカル初心者の原作ファンには入りやすいし勧めやすい演目!!!

演出もブラッシュアップされてて、今回の新演出で、改めてデスミュって作品としてのレベルがそもそも高いんだなと噛み締めました…栗山演出とワイルドホーン楽曲の強さ〜〜!!!

再演の柿澤月を見てデスミュは文学、素晴らしい演目だとは思っていたけど、更に進化してた…!!すごいよホリプロ!!良いキャストをしっかり選んでくれてありがとう…!!握手!!という気持ち。

 

冒頭の場面からこのミュージカルのテーマはこれ!どどん!!と提示されていた。アンサンブルの掛け合いや動きがいいのか、歌詞に込められた意味が再演より更にわかりやすくなってて、冒頭の「♪正義はどこだ」でいきなり泣いてしまった。この曲ってデスノートの内容を端的に表す曲だったんだなって今回で気づいた。

 

以下各キャストの感想。

 

むらいと良いーーー!!!すごい地味で平凡だけどこれは浦井柿澤とは違うしっかりとした第3のキラ!!!!

「♪デスノート」の歌と演技がとても丁寧で好感度激高!!!

歌詞の言葉のひとつひとつを丁寧に拾い、動作の一つ一つに明確な意味、感情と理由があり、普通の男の子がどうして大量殺人鬼になってしまったのか、ノートを拾ってからの気持ちの流れや変化が超分かりやすい!!

死際はめっっっっっっっっちゃ見苦しくのたうちまわってて最高でした。むらいと版デスノートは「どこにでもいる普通の人間がデスノートを拾ったことによって巻き起こった惨劇&悲劇」って感じだった。

 

そしてさゆちゃん!!!めっちゃ可愛い!!西田ひらりさん!!!
今まで見てきたさゆの中で一番演技に無理がない、あの作為的年下妹演技を実に自然に可愛く演じられていた、嬉しすぎる〜!!こんなさゆちゃんが見たかったー!!!個人的に今まで見た中でベストさゆちゃん!!歌も文句ないし素晴らしかったー!!

 

横田リュークもすごく良かった…
横田さんの演技って吉田鋼太郎さんみと同系統で影響を感じるけど、横田リュークは吉田リュークの演技力に歌唱力を足してアクの強さは抜いたみたいなハイブリッドリュークだった…つよつよですやん!!!ずるい!!!

 

キーヨパパは今までで一番原作よりのビジュアルだったよパパ〜〜!!!
演技も歌も良かったよパパ―!!!カッコ良くてラストは哀愁漂ってたよパパ―!!

 

吉柳ミサは髪型(ツインテール)が気になったけど、一幕のアイドルダンスの躍動感とフレッシュさはふうかちゃんに負けず劣らず素敵で、二幕のソロの力強さはとても良かった!!
歌は両者とも上手いけど、演技というかキャラクター面で、吉柳ミサはふうかミサよりメンヘラ度が若干高くて、より原作ミサに近く見えた。色々極端な若者たちが暴走して起こる悲劇であるデスノート作中登場人物としては、吉柳ミサの方がマッチしていた気がする。
デスミュではミサとさゆが対になっていて、ミサが闇、さゆが光へと月を引っ張っていくポジションにいるので、吉柳ミサの「良い子なんだけど精神的に危うい、視野が狭く考え方が極端で子供っぽく、不安定さを感じる」というキャラは、精神的に安定していて健全で光の化身のような西田さゆとの対比がとての良かった。ふうかミサは可愛くて大好きだけど、物語のキャラクターとしてここまで分かりやすくなかったと思った。さゆとのバランスもあるので惜しい。

 

パクレムも良かった〜〜!!!
レムの「この子が貫く無防備な愛は愚かで不可解だ」「だがあんな愛を与えられたら誰もが貪るだろう」って台詞に「せやな!!」って酷く同調出来て…説得力があってレムの曲で号泣してしまった。
序盤では「上手いけど、やはり濱めぐ神は越えられないか…」と思っていたら最後のソロのバズーカみたいな歌唱で吹っ飛ばされた。ディーバが現れた!!!

 

最後に髙橋L。
歌はともかく演技が不安だったけど、実際見てみるといやいやいやいや、良いじゃん良いじゃんーー!!
まずビジュアルがまんま原作Lで衝撃を受けた…手足がヒョロ長くて細身で顔小さくて!!
そして何よりキャラクターが!!精神的に大人で安定して見えた小池Lに比べて、髙橋Lの軽さチャラさひょうきんさ!!!精神も仕草も子供っぽい!!!
ミサを警察送りにした後で誰にも見えないようにこっそりピースして、その後一度履いた靴を蹴り飛ばして脱いで裸足になる仕草、おま、おまええええええーーー!!!
総一郎に「キラと道連れに地獄に落ちるつもりか」と言われても、小池Lは地獄には落ちなさそうだったから台詞がイマイチ空を切ってたけど、髙橋Lは確かに地獄に落ちそう…!!という!!!説!得!力!!!

髙橋Lはテニス後ほんとになれるものなら月と友達になりたかったのかなって思ったし、負けず嫌いで子供っぽくて、月と鏡合わせ、同質な存在に見えた。
月とL、道が少し違えばどちらがどちらになっててもおかしくなかった、ような。

 

そしてミサとレムも同質の存在に見えた…
君らの愛は!!極端なんだよ!!!
軽率に寿命や記憶や命を投げ出すな!!!生きろ!!!!!!(号泣)

 

とにかく全員歌がしっかりしてる安心感がすごかった。

初演再演を愛しているのでこう言うのは気が引けるのですが、歌と演技とカンパニー全体のバランスやまとまり等の総合力で見れば、新生版は初演再演版を上回っていたと思う。素晴らしい完成度の舞台だった。

ぜひこのキャスト&演出でまた海外公演やってほしい。これは世界に輸出できるクオリティの舞台だと素直に思います。おめでとうホリプロ、ありがとうデスノート!!

 

そうそう、客席に男性客が多くてびっくりした。普段見ている舞台に比べて圧倒的な男性率、しかも若い世代だけじゃなく、同世代やそれより上の男性が多かった。原作漫画のファン層かな?もっと沢山の、多様な人達にミュージカルを見て欲しい、といつも願っているのでこれはとても嬉しかった。

こんな作品が多くなるといいな!

 

 ↓初演浦井版CD 

 ↓初演柿澤版CD

 ↓「♪デスノート」収録、浦井健治ソロアルバム(めっちゃ好きでヘビロテしてる)

Wonderland(CD+DVD)(初回限定生産盤)

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  • アーティスト:浦井健治
  • 出版社/メーカー: avex trax
  • 発売日: 2016/08/03
  • メディア: CD