黄金羊の観劇記

観劇・映画・読書の感想を好き勝手に書いてます。東宝・宝塚・劇団四季中心、海外ミュージカル(墺英米)贔屓、歴史好き。

ミュージカル「CHESS」感想

せっかくラミンとサマンサが来日してくれるので、1回見てきました!

正直、以前梅芸版を見た時は「アンセムという名曲中の名曲が1曲だけあるけど、他の曲はそこまで耳に残らず、物語とキャラクターには魅力がない」という印象だったので、今回もチケットはギリギリまで取りませんでした。

でも実際見に行ってみたら、まずアンサンブルの良さに驚いた!!
全員動きにキレはあるし歌もしっかりしてるし、近年見た舞台の中でもここまでバランス良くハイクオリティな陣は珍しいのでは!!?と手に汗握った!!
これで英語で歌いこなしてるの凄いな!!!?

そして演出と振付の良さに驚いた!!
いや演出がスタイリッシュで素晴らしいんだけど誰!!?と思ったらニック・ウィストンさん、ウエストエンドの演出家か〜!!!
アンサンブルの振付が良くて痺れたんだけど、演出と振付が同じ人で、振付出身の方なのかー!!納得!!!
映像もセンスの良いものが効果的に使われてた!(ラミンのソロで本人が歌唱してる後ろに登場していた本人映像だけは要らないと思ったけど)
照明の使い方も派手で楽しい!!コンサートみたい!!

今回は歌うまキャストが揃っているので二階席で歌を堪能しよう、と思って二階センターブロックのチケットを取ったけど、演出も綺麗に見られて大正解でした。

ただ、一幕は最初演出とアンサンブルの素晴らしさに見とれていたけど、見ている内にだんだん眠くなってきてしまった。やっぱり物語とキャラクターが弱い。というかなんでこんな脚本作ったんだ。なぜこれでOKだと思ったんだ。

眠くなる一因は文字の量が多く流れるスピードも速い字幕を必死に読んでいたことによる脳の疲れだと思うけど、いっそ字幕を見ずに舞台に集中したい気持ちもありつつ思い切れなくて、煩悶してしまった。

そしてたとえそれまでどんなに眠さを感じさせたとしても、一幕最後の「♪Anthem」で全てをぶっ飛ばして号泣させてくる、それがCHESS。安定のCHESS!!

ただでさえ素晴らしい名曲を歌唱力のある名優が原語で歌うとこのような破壊力になるという見本だった…国際フォーラムホールCが割れるかと思った。

ラミンのアンセムだけでチケット代の元は取れた。ありがとうラミン。

今回のCHESSは、難曲を歌いこなす名人芸と舞台芸術を楽しんでる感じで、心で楽しむエンタメというより頭で楽しむ教養系だったな。しかも英語上演なので、チケットの売れ行きが芳しくない、というのは少しわかる気がした…。うーん。

主役四人の歌は素晴らしいけど、物語とキャラクターはやはり虚無、特にアナトリーは妻子捨男の不倫屑野郎なので、気分を害する方は害するかも…。
アンセムは本当に名曲で一発で泣かされるけど、冷静に考えるとあの状況であの内容の歌詞を歌われても「妻子を捨てて不倫駆け落ち逃亡することをめっちゃ壮大に正当化&美化してるだけの歌」とも受け取れてしまう…。感動が激減してしまうから冷静に考えてはいけないやつ。

アナトリーのやってることは屑だなと思うんですけど、ラミンとルークの掛け合い演技や歌がめちゃめちゃめちゃめちゃに良かったのでもう全部吹っ飛んでしまったな…ルークフレディが過去を回想する「♪Pity the child」、歌も演技もすごく良かった…

サマンサとエリアンナのデュエット「♪I know him so well」も良かった~!!!エリアンナさん、なぜかソロパートがカットされてしまったようでちゃんと歌うのがこの場面しかなかったんですが、勿体なかった!!

あとモロコフ役の増原さんも歌うま〜〜〜!!!えっめっちゃ綺麗なバリトンジーザスでカヤパ様とかやって欲しい、というかやってましたか!!?と思って経歴見てみたらオペラ畑の方だった。納得…!!!!二幕の「♪The soviet machine」は増原さんの歌唱とコサックダンスを取り入れたアンサンブルの振付が素晴らしくてとても楽しかった!

アービター役のシュガーさんの話全然してなかった。いやシュガーさんが歌うまいのってなんか当然な気がして言及するまでもない的な。今回のアービターはチェスの精というよりは実在するチェス大好きなチェスオタクの審判員って感じでした。TVでレポーターもしてたし。普通にしっくりきたし私はこの表現も全然いいと思うけど、伝説の浦井アービターや好評だった田代アービターも見たかったなとは思う。(どっちも見てない)

総合的にハイクオリティの良舞台だったので、見に行って良かったです!!帰路は良いものを見た充実感で胸いっぱいでした。

 

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