黄金羊の観劇記

観劇・映画・読書の感想を好き勝手に書いてます。東宝・宝塚・劇団四季中心、海外ミュージカル(墺英米)贔屓、歴史好き。

「ラーヤと龍の王国」感想

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ラーヤと龍の王国見てきました〜!!
楽しかった、凄く好き!!ラーヤ、ディズニーヒロイン史上、魔法抜きの物理的戦闘力最強クラスでは!!?剣と体術のレベルが凄すぎる!!甘ふわプリンセスの冒険ではなく、マッドマックス的な荒廃世界を気合で生き抜くアクションロードムービーでした!!楽しい!!!

歌はエンディング以外一曲もないです!!ミュージカルじゃないけどミュオタの私が十分楽しめました!!!

 

ムーランとソウルフルワールドでディズニーが映画館との関係を拗らせたせいで上映館がめっちゃ少ないという不遇の状態なんですが、頑張ってほしい!!!私は幸いイクスピアリで見られましたが、このままでは作品の存在を知る人さえ少ない超マイナー作品として終わってしまう!!!勿体無い!!!!

 

・単純明快だけどその時代に必要な大切なテーマを訴えている

・恋愛要素が最上位ではない、もしくは恋愛要素なし
・ツボにハマる人間関係(端的にいうと推しカプ)がある

という要素を兼ね備えていて、ベイマックス、アナ雪1、ズートピアに続く系譜の作品がやっと来たと感じましたラーヤ!!信じて待ってて良かったディズニー!!!

個人的感覚ですが、ズートピアオバマアメリカ、ラーヤと龍の王国はトランプのアメリでした。

ズートピアは多様性や共生がテーマで、異種族や他人を抱えて同じ世界でどう生きるかという話、ラーヤは分断され、他者を信用できない世界でどう生きるか、世界をどうやってまた一つにまとめるかという話。 

今の世界情勢でこの世界設定でこの物語というのはあまりにも直接的過ぎないか、と思わなくもないけど、このくらいの直球さで子供にもわかりやすく伝えて訴える方が良いんだろうな〜。全年齢向けエンタメだし、分かりやすさ大事ですよね。

 

 

上映時間107分の中に物語の要素を欲張り全盛り状態で詰め込んでいるので超早送り展開なのは否めないけど、退屈してる隙はないとも言える!!背景や美術が隅々まで美しいのでその早送りがもったいない!!ああんもっとゆっくり見せて、と歯痒くなりつつも東南アジア風の極上の美麗世界に浸れて楽しい!!光や自然、中でも特に水の描写の美しさが素晴らしく、夢みたいな映像でした。毎回毎回ディズニーの技術には度肝を抜かれる。

アクションシーンは動きが速すぎて目がついていかなかった!!動体視力の限界!!低速再生したい!!初見では目で捉えられずこぼれ落とした物が数多あると思うので、早くもう一度映画館に行きたくてしたくてウズウズしています!!

映像の美しさとスケールの大きさ、アクションの激しさ的に絶対に映画館の大スクリーンで見るのがオススメ!!!

 

キャラも皆良かったなあ。ディズニーはキャラクターの作り方がうまいよな…今回も結局楽しさの大元はキャラの魅力だったし、今まで記憶に残った好きな映画だってそうだし。(逆にキャラに特にハマらなかった作品は自分の中に残っていない)

私は男女関係なく強い人間が好きなので、ラーヤの強さは大好きでした。屈強で俊敏で、動きを見ていて気持ちがいい。
ラプンツェルやエルサも大好きだけど、あれは魔法を使った強さじゃないですか!!ラーヤは肉体的に強いんですよ!!戦士!!!とある国の姫ではあるけどただの人間で、ただの人間が過酷な修行であそこまで己の身体と意志を鍛え上げて強くなったのだと思うと、そこに痺れる憧れる!!!

シスーはこんなん見た人全員好きになるでしょ、というキャラでした。好きだよ!!!

吹き替えキャストは全員違和感なかったけど、特に好きだったのはシスーの高乃麗さん…鷹羽リョウやマリア・タチバナ、懐かしい…。

各国で仲間になるキャラも年齢・性別バラエティ豊かで、でも皆家族や親しい人を失ったという悲しみを抱えていて、愛せるし応援できる。赤ちゃんのノイと猿達の現実には到底不可能な活躍も、フィクションの醍醐味で見ていて楽しかった。

 

ラーヤはメインキャラに若い男性不在のプリンセス物語で、とうとうディズニーもここまで、というかやっとここまで来てくれたかという思い!!

メインキャラのラーヤとナマーリはそれぞれ女性ではなく男性でも全く無理なく話が成立するし、むしろディズニーじゃない他の会社が制作していたら、この二人は男性になっていたのではないだろうか。でもそれじゃ今の時代に出すには陳腐すぎるか?「剣と拳で殴り合うことで、己の意志を示すプリンセス達」というのが新しく、ディズニーもそれを提示したかったんだろうし。すごいなディズニープリンセス。ドレスを脱ぎ捨て、とうとうここまで来た。

人生を生きていく上で、伴侶を見つけるのは大切。でも友達を作ることは同じかそれ以上に大切だと思っている。だからディズニーがようやく「恋人」を排除し、「女友達」についてのドラマを作ってくれたことがとても嬉しい。

 

ラーヤで個人的大ヒットだった大興奮大好きポイントは、ありていに言うと百合。

ラーヤ、百合と解釈できる作品として暫定ディズニー映画史上最推しです…。
アナ雪のエルアナも好きだったけどあれとはまた違うんですよ!!全然違う!!!宿敵と書いて友と読むタイプの百合!!!

アナ雪は始終ラブラブきゃっきゃの姉妹愛で眺めていて幸せになれるやつなんですが、ラーヤの百合は…ガリガリと取り憑かれたように二次創作したくなるやつです…。アナ雪が姉妹の楽しい日常ハートフルコメディの二次創作がたくさん出る作品だとしたら、ラーヤはシリアスでハードなR18本がたくさん出せるタイプの世界観と物語…好きな人は大好きだと思う…私は大好きです…(ディズニーでやるには勇気がいる創作)(公式に見つかったら社会的に殺されそう)

「強い」百合が好きな人!!!!ラーヤを見てくれ!!!!!!
因縁の強さも感情の強さも腕っ節の強さもすごい百合がいるんだ!!!!!!!

 

以下ネタバレ

 

 

 いやナマーリ!!!!!!!

Twitterで「百合」という情報を見かけててっきり主人公と龍の異種カプかと思っていたらまさか人間同士の拗れに拗れた幼馴染殺し愛カプを目にぶつけられた私の気持ち!!!完全に不意を突かれたんだが!!!!???

もう序盤の「状況が違ったら友だちになれたかもね」の台詞を聴いた瞬間に「ヤバい人間関係が生まれる気がする!!!」と全身を鳥肌が駆け抜けたよ!!!!!???

 

ナマーリとラーヤのお互いに向ける感情の大きさ!!お互いに敵国の王位後継者で、立場を分かち合って理解し合える同世代の貴重な相手だったにも関わらず、国益の為に相手を「裏切った」「裏切られた」関係になったこと、心の奥底にきっとある「本当は友達になりたかったのに」という悔しさと悲しみ、だからこそより一層大きくなる相手への憎悪と反感!!!!!!!大好き!!!!!!!!

二人の誤ちで一度世界は滅び、二人の和解によって世界は復活!!!!なんだそれ!!!!世界系カプ!!!!

 

分断された世界を再統一する物語を描きたい→再統一の鍵は「信頼」→なら主人公は最初人間不信状態でなければならない、というのはとてもわかりやすい流れですが、主人公が人間不信になった原因とその克服を象徴する絆を両方一人の相手に担わせたので、ラーヤとナマーリの関係性が極太になってる。ナマーリに始まりナマーリに回帰するラーヤ。龍と仲良くなり力を合わせて敵を倒すお話かと思ったら、龍から学んで昔失った友達を取り戻す話だった。龍は最終決戦には特に参加しなかった…(そんなことある!!??ってビックリした)

人間不信のラーヤが横にいるせいで、天真爛漫で人間達を素直に信じるシスーのキャラクターがより魅力的に映るんだけど、カップリング妄想が楽しくて萌えるのは人間不信のキャラの方だった。エンタメって奥が深いですね!!!単体として一番好きなキャラはシスーです!!

 

ラーヤとナマーリが斬り合うたび生じる巨大な感情の波動に萌えて悶えて大変だった。殺し愛カプ大好き侍。

 

自分に龍の石を託して石化したラーヤを見た時のナマーリの気持ちを想像すると萌え転がって死にそうだったし、死にそうになっていたら大画面の中で次々に仲間が石化していって案の定泣かされるし、お互いに寄り添って石化していく仲間達の姿(あれは狡いよ泣くよ!!まったくいつも同じパターンだ!!!トイストーリー3でも号泣させられた!!キャラ同士の絆と死を受け入れる様を見せつけられるとあかん!!!)にズビズビ泣いていたら、最後にナマーリがラーヤの肩に手を置いて石化してまた萌えが爆発するし!!!映画館で情緒と顔面が大変なことになった!!!!!!

 

ラーヤとシスーのコンビも楽しいし、憧れの龍・シスーに対するナマーリの挙動も可愛い。将来は君主二人と龍の女3人でいつまでも仲良く暮らしてほしい。

でも本編後しばらくは長年のツンが抜けなくて、「憎い敵」ではなく「気安い友達」として相手に接することに慣れなくて挙動不審な振る舞いをしてしまう二人も見たい。そこからだんだん緊張感が取れて態度と空気が丸くなり、親しくなっていく過程も見たい。

続編の製作を楽しみにしています!!ディズニー!!