黄金羊の観劇記

観劇・映画・読書の感想を好き勝手に書いてます。東宝・宝塚・劇団四季中心、海外ミュージカル(墺英米)贔屓、歴史好き。

「アナと雪の女王2」感想

アナ雪2を見てきましたよ!!
1も続編(「エルサのサプライズ」と「家族の思い出」)も全部大好きだったので、一刻も早く見たい気持ちで公開日に見てきましたよ!!

ウキウキで映画館に入り、
俯いて出てきました。……ううーん。。。Not for meな映画でした。

以下ネタバレしかない感想。(主に結末について)
否定的ですので、アナ雪2最高大好き!!!と思われた方はご注意ください。

 

現代のディズニー黄金期…終わってしまったのかな…?悲しい……
というのが個人的な所感。

脚本も歌もキャラの魅力もパワーダウンしたように感じられた。やっぱり1作目の爆発は越えれられなかったかあ…。

最初から見ていていまいち盛り上がらず、しまいには退屈や眠さを感じかけ、いやいやきっとこれから盛り上がってくるはず、と期待しながら画面を見ていたけど、その気持ちは裏切られ続け。しょっぱなから画面と話に引き込まれた1と全然違う。だんだん画面を見ているのがしんどくなってきた。1にあった圧倒的吸引力がない。

脚本とキャラクターに感情移入できず気持ちを置いていかれる中、オラフのキャラクターは魅力が安定していて、出てくる場面では楽しませてもらった。ありがとうオラフ…。

脚本についてですが、

私はエルサが力を持って生まれた理由は解明しなくて良かったんじゃないかと思います。
エルサの力は原因不明、家族にはなく、他の誰にもない特殊能力を持って生まれてきてしまったからこそ、そういう力を持っている(と思っていて)、他人と違っている・変わっていことに苦しんでいる視聴者には刺さったんじゃないかと思うんですよね。周囲になじめず、苦労して生きている多くの人が、エルサに共感し涙した。「レット・イット・ゴー」で、エルサと一緒に「ありのままの自分になるのー!!」「これでいいのー!!自分を好きになってー!!!」「The perfect girl is GONE!!!!!!!」と泣きながら歌った。すごい解放感だった。今までの悩みも苦しみも音楽に乗って浄化されていく様だった。
そして結末には救われた。世間一般の「普通」とは違っても愛してくれる家族、受け入れてくれる社会、力と折り合いをつけて皆と上手くやっていける自分、人々に囲まれ、彼らと良い関係を築いて幸せに生きていける理想の夢を見られた。
私もその一人だったので、2の結末はショックで、正直受け入れ難かったです…。え、ディズニーさん、結局異能を持ってる異分子は森で暮らすのが平和って結論??それは真実の愛の範囲を広げたアナ雪1や多様性と共存のギリギリを攻めたズートピアより後退してしまっていない…?という失望。
アナ雪1でエルサがレリゴーしたものの、アナとの真実の愛と絆でアレンデールに戻って、皆に受け入れられて幸せに暮らすラストが大納得でとても幸せだったから、えっ、今回の結末はそうじゃないんだ…と思いました。
最近のディズニーは別離ラストが多いとはアナ雪2の感想を漁ってて知っていたけど、どうしたのディズニーさん…今リアルアメリカどうなってるの?多様性と共存の模索に疲れて、棲み分けの方がいいのではって考えが大きくなったりしてるの…???
映画を作るのに数年かかることを考えれば最新作の価値観も既に最新ではないんだろうけど、製作中にも脚本に手直しがあって未使用シーンもあることを考えたら、完成稿はいつの時点で出来たんだろう…。というのも、アナ雪1〜ズトピにはオバマさんのアメリカ、アナ雪2にはトランプさんのアメリカを感じてしまったのです…
アナ雪2のラスト、平和的別離であっても結局分断されて生きてるじゃないですか…お互いに解り合っててもでも居心地の良い居場所や生きる世界は違うよねっていう…それに納得できない…それを超えられるもっと上の何かはなかったのか。もっと高次の答えを提示できなかったのかディズニー。

2で、異能の力を持つエルサに「こんな私が何故生まれてきたのか」とか言わせないで欲しかった。「こんな私」とか言わないで胸を張って力強く生きられるようになったと1で思った。そこを逆行させないで欲しかった。

2は1で進んだ分を2でわざわざ戻ってまた同じことやってる気がして、逆行と重複を感じた。つまり脚本が1を踏まえた上での2として、テーマと物語の方向性の設定を間違えていると思った。「レット・イット・ゴー」と「見せて、あなたを」の2曲、両方いる…?いらなくない??同じことを歌っていない???という疑問。作中で盛り上がる箇所を作らないといけなかったのかもしれないけど、盛り上げる要素を他に考えることは出来なかったのだろうか…?

など。

 

ぐちぐち言ってしまって申し訳ありません!!!!!
それだけ近年のディズニーに対する私の愛と信頼と尊敬と期待が大きかったんです…アナ雪1にはしんどい時期に心を救われたし、ズトピやリメンバーミーが続いて、近年のディズニーは本当にすごいすごい、すごいとひたすら絶賛しかなくて、精神的に寄りかかっていたんです…。
正直アニメのトップオブザワールドを把握しておくにはとりあえずディズニー作品を追っていれば大丈夫だろう、脚本演出映像技術、全ての先頭をディズニーが走っている、という絶対的な信頼がありました。だってラプンツェル、アナ雪、ベイマックスズートピア、リメンバーミーと、あれだけのクオリティのものをこれだけ連発されたら、世界トップのクリエイター達はそりゃあここに集ってここの人達と一緒に仕事したいと思うだろうと思ったんですよ。お金と時間とマンパワーを潤沢にぶちこんで最高峰のものを仕上げる、そういう気概と誇りと圧倒的実力を感じたんですディズニー。
ディズニーはアメリカの誇りで、世界の最高で最先端だと思ってた、私の中のその圧倒的信頼と安心がアナ雪2でぐらついてしまった、それが悲しい…。
ヒット作の続編というのは難しいのかもしれない、でも脚本の中でもテーマ、物語の着地点だけなら、そこまで注力しなくても決められると思うんだよなあ。映像技術が世界最先端であることに変わりはないし、そこは信頼してるけど、技術だけあってもダメ、手先だけ器用でもダメなんだよ、心と頭がしっかりしていなきゃ…。ディズニーの頭と心どうした、迷走しているのか頑張れ、まさか逆行はしないでほしい、頼むよディズニー、頼むよアメリカっていう…つらい!!とてもつらい気持ちになりました!!!!ディズニーと現実のアメリカを同一視して語ってすみません!!!

アナ雪2は公式の二次創作として、アナ雪1から続くいくつもある未来の可能性、平行宇宙の中の一つ、という程度に捉えておこうと思います…私の中ではアナ雪1のラストとエルサのサプライズ、家族の思い出の時間軸が永遠に続くよ… 

 アナ雪1はいいぞ。 神曲ばかりだぞ。

アナ雪2、吹替で見たんですが、松さんと神田さんのアレンデール吹替姉妹は歌も芝居も前作と変わらない素晴らしさだったと思います。松さんのソロ曲を聴きたくて、結局アナ雪2のアルバムもヘビロテしている。