ウィーンフォルクスオーパー作のバ・ロック・オペラ「Vivaldi 第五の季節」。
作曲家Vivaldiを主人公に、彼の一生を物語る舞台です。同じく著名な天才作曲家が主人公の「Mozart!」と印象の共通点が色々ありました。
バ・ロック・オペラと銘打たれていますが、要は時々オペラ風の歌唱が入るロックミュージカルって感じです。
現地では見ていないのですが、DVDが出ていたので映像で鑑賞しました。（残念ながらBlu-rayは出ていません。何故なのフォルクスオーパー…！！）
めっちゃネタバレの感想なので、今後見る予定がある方はご注意ください。
ヴィヴァルディ、全編通して性と愛について真っ向から取っ組み合ってる作品で、なかなか語るの難しいし見る人も選ぶなと思いました・・・。
少なくとも小さい子には見せたくないな・・・教会での稚児趣味的なものがオブラートに包まれずに出てくるので・・・。
ヴィヴァルディ先生は史実でも赤い髪で有名だったらしいのですが、本作中ではその赤い髪が最初っから最後までセックスアピールの象徴なのがつらかった。
良い音楽を作りはしたけど、周囲の人を魅了したのは明らかに彼の音楽よりも性的魅力の方だった、という描かれ方をしており・・・男女問わず出会う人に次々と性的な意味で気に入られるヴィヴァルディ先生、と、その象徴の赤い髪。つらい。
私だったらあんな会う人会う人に「赤い髪が素敵だね」と言われ激しいセクハラを受け続けたら丸坊主にしたいです・・・。
でも神聖ローマ皇帝に「赤い髪」を所望されて坊主にしたら社会的に死ぬよな…………などとも思いました。逃げられない。つらい。。。
もう皆ヴ先生のことそんなに性的な目でばかり見るのやめたげてよお！！！！！！！と思ったので、仕事仲間？友人？？のゴルドーニのターンは安心して見られました。
ヴィヴァルディに対してはどういう感情を抱けばいいのか自分の中でまだまとまっていないのですが、ヒロインのアンニーナちゃんのソロは好き！「ドレスもカツラも邪魔なだけ、私は私、ありのままで輝く！！」という内容で、最近ベタになりつつあるけどやっぱり自己肯定感が上がるし元気出ます。
ヴィヴァルディ、ファンアートも描いたのでついでに載せときます。
カツラとドレスを脱ぎ捨てるアンニーナちゃん。
鬱々ヴィヴァルディ先生。
アンニーナちゃんは登場場面がインパクトあったから割とデフォルメの方向性掴みやすかったんだけど、ヴ先生・・・掴めねえ・・・どこを強調したらいいのかわからねえ！！！！って迷走していたところ、登場時の毛布被ってる鬱先生見て「この方向ならいけるかもしれねえ」と閃いてしまった。ごめん先生。（でもこの方向ならすぐ描けたからやっぱり掘り下げるならこっちなのだろうか）
一番感動したのは、終盤の曲「第五の季節」〜フィナーレまでの内容。
「第五の季節」の意味がわかったところで感動で鳥肌立った…！！！
この演目、サブタイトルに「第五の季節」とつけていて、「それって何やねん」と最初からずっと観客に思わせておいて、最後の最後で回収してくるその構成、そしてその意味付けがすごく好きで刺さった。
彼の最も有名な名曲になぞらえた四季、春夏秋冬、第一〜第四の季節は彼が実際に歩んだ人生。
そして第五の季節、実際にはそんなものは存在しない季節が意味するのは、まさに存在しないもののこと。
彼の信念、彼の思想、彼の死後にも残るもの。幸福な彼の音楽！！
ということで
すーーーーーーーーごく“”“納得“”“する命名だった…それらを「第五の季節」って言う言葉のセンスがもう好き。大好き。
栄耀栄華を極めた彼も晩年には落ちぶれ、侘しく亡くなっていくのですが、彼の教え子であるピエタ慈善院附属音楽院の女の子達が歌うフィナーレでだいぶ救われた。
ここ、「本人の死後にも偉大な音楽は残った」という内容で「M！」の「モーツァルト、モーツァルト！」とテーマが似ているんですが、ヴィヴァルディの方が断然救いある描き方。彼を慕い、彼を理解し、その音楽を自分たちが後世に伝え残していこうとする後継者達がヴィヴァルディのことを歌う様子は、最後には大衆に消費し尽くされ、死後には妻の心もすっかり離れている様を描かれるヴォルフガングと対照的。
ヴィヴァルディは死際に恋人のアンニーナが迎えに来てくれたし、良かったね…と思う。
ヴィヴァルディ先生とアンニーナちゃん。
アンニーナちゃんのこの赤いドレス、超ミニスカで可愛い！
DVDはこれ。日本のプレイヤーだと再生できないので、PCでどうぞ。
