黄金羊の観劇記

観劇・映画・読書の感想を好き勝手に書いてます。東宝・宝塚・劇団四季中心、海外ミュージカル(墺英米)贔屓、歴史好き。

「中国嫁日記」4巻&6巻感想

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中国嫁日記の4巻と6巻を買いました。

1巻が発売して話題になった時に掲載元のブログを読んで、以降時々ブログの方を拝読してました。紙の単行本を買うのは初めて。

なぜ突然この2巻かと言うと、描き下ろし漫画の内容が4巻は不妊治療、6巻は流産だとネットのレビューで知ったからです。

 

一読した結果、どちらの巻でも号泣しました・・・。

Amazonのレビューを見たところ評価は分かれていましたが、本来の読者層からすると確かにそれまでと違うテーマで、関心がない人にはピンとこないし、読みにくいテーマかもなと思います。

 

逆に言うと元々の読者層と本編のせいで、もっとこの漫画を必要としている人、読むべき人や読んで救われる人に届いていない気がして、勿体無いと思いました。私はこの描き下ろし漫画がどストライクだった読者の一人ですが、今まで存在に気づかずにいて読んでいなかったので。

本を検索する時は「不妊治療」や「流産」で検索するので、タイトルにもサブタイトルにもそのどちらも入っていないこの本にそういった内容の漫画が載っているとは思わないし。

私は今まで不妊治療体験記の漫画は女性の作者の作品しか持っておらず、夫にも「男性目線の話じゃないから共感しにくい」と言われていたので、男性の作家がこういった漫画を描いて公表してくれたことを大変有難く感じました。

特に4巻は単なる不妊治療ではなく「男性不妊」の治療についてがテーマで。原因が男性側にあってもなかなか不妊治療に向き合うことさえしない男性もいる中、ここまで主体的に考え、行動もしてくれるジンサン、いい人だなあ。

 

漫画の内容は不妊治療ついては結構ザックリしていて、本格的に自分が不妊治療を始める時の参考には正直ならないです。データとしては使えないというか。自分の病院探しや治療方針の決定にはあまり参考になりません。その辺りはこの漫画においては細部なので、他のしっかり情報がまとまっているサイトや本をあたれば良いと思います。

大切なのは主人公のジンサンとユエさんの心の動きとコミュニケーションがわかりやすく、率直に描かれていたことです。お二人が何を感じ、考え、どう行動したのか。不妊治療と流産の体験記として、お二人の感情に触れて、共感することは充分出来ます。この漫画の価値はそちらにあると思います。

 

結果から言えば、数回の人工授精の後、1度の流産を経て、最終的に自然妊娠で子供を授かれた月さんは、不妊治療経験者の中では幸運で、傷も浅い方だと思います。

複数回の採卵、顕微受精、移植、流産を繰り返している私にしてみれば、羨ましいとさえ思えてしまう。(苦痛は人それぞれですし、不妊治療により大きな苦痛とお金を払った人間が偉いという訳では全然ないこともわかっています)

それでも私はこの漫画を見て月さんにとても共感したし、その言葉に泣いたし、共感することで癒されもしました。

 

「子供いないと不幸、そんなことナイデス」
「努力しますケド、出来なかタラ 仕方ナイ」

「できてもできなくてもコレ最後デス」
「ジンサンわからないかも知れないケド…人工授精すごい痛いヨ…はずかしヨ」
「赤ちゃんのためガンバるデスケド、でも…もうイパイデスヨ」
「いっぱいがんばたダカラ、これで最後でもイイデス。そうワタシ思たダカラ、これで最後」

 

全部全部気持ちわかりすぎて号泣した。

月さんは素敵な人だなあ。毎日漢方薬を煎じたり、手術に付き添ったり。私は夫にここまでしてあげているだろうかと我が身を振り返る。

 

4巻の134ページに書かれている月さんの言葉。

「子供いなかたら ワンワン飼うヨ

 二人でいぱい 旅行イキマショ 世界中周りマショ

 ずとずと二人だけイイジャナイ きと楽しいデスヨ」

2回目の流産後、まさに私も同じような心境になり、同じ言葉を夫に伝えていました。

以前不妊治療をしていた友達からも、同じことを夫婦で話していた、と聞いています。

皆同じところに辿り着くのかな、と思いました。

 

中国嫁日記、独身の頃よりも今読む方が楽しいです。

結婚してからの自分と同じ時期のジンサンと月さんの暮らしを読むと、「あるある」に溢れていて愛しくなりました。

ジンサンと月さんはお互いを本当に愛し合い、労わり合い、支え合っているのが伝わってきます。幸福で素敵な結婚をなさったご夫婦ですね。月さんの人徳は大きいと思いました。

私も月さんのようになりたいので精進します。

他の巻も買おうっと!